
このたびの千葉県を中心とした大雨により、被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。
一日も早い生活の復旧と、皆様の安全を願っております。
大規模な降雨や冠水が発生した後は、人間だけでなく、ペットの生活環境にもさまざまな衛生的なリスクやストレスが生じます。
今回は、水害のあとにペットを守るため、飼い主の皆様に特に気をつけていただきたい点を獣医師の視点から解説します。
1. 汚水による感染症リスク(特にレプトスピラ症)
冠水後の泥水や水たまりには、下水や野生動物(特にネズミなど)の尿が混入している可能性が高く、感染症のリスクが跳ね上がります。
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レプトスピラ症(人獣共通感染症): 泥水に含まれるレプトスピラ菌(スピロヘータという細菌の一種)が、皮膚の傷口や粘膜から侵入することで感染します。犬が発症すると、発熱、嘔吐、急性の腎障害や肝障害(黄疸)を引き起こし、最悪の場合は死に至る非常に危険な病気です。また、人間にも感染する人獣共通感染症です。
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対策と注意点: 散歩の際は、水たまりや泥の中を歩かせないようにしてください。もし触れてしまった場合は、速やかに水道水(清浄な水)で洗い流します。レプトスピラ症は混合ワクチン(主に7種以上)で予防、あるいは重症化を防ぐことが可能です。未接種や接種から1年以上経過している場合は、環境が落ち着き次第、追加接種をご検討ください。
2. 消化器症状と有害物質の誤飲
散歩中などに、汚染された水や泥を舐めたり飲んだりしてしまうことで、細菌(大腸菌やサルモネラ菌など)や寄生虫(ジアルジアなどの原虫)による重篤な胃腸炎を引き起こすことがあります。
また、氾濫した水には、どこかから流出してきた自動車のオイル、不凍液、農薬などの化学物質が混ざっている例外的なケースもあります。
これらを摂取すると急性中毒を起こす恐れがあるため、散歩中の拾い食いや、被毛についた泥を舐めとる(グルーミング)行為には細心の注意を払ってください。
3. 皮膚炎や外傷のケア
泥水に浸かった被毛や皮膚をそのまま放置すると、細菌の増殖を招き、細菌性膿皮症などの皮膚炎を発症しやすくなります。
また、水没した道路には、割れたガラス、釘、流木などの危険物が隠れていることがあります。
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帰宅後のケア: 泥水に浸かった場合は、犬用・猫用シャンプーを用いて全身をしっかり洗い、完全に乾かしてください。断水等でシャンプーが難しい場合は、清浄な水で濡らしたタオルで汚れを丁寧に拭き取り、ブラッシングをして皮膚の通気性を保つことが重要です。肉球や指の間に切り傷がないかも必ず確認してください。
4. 環境変化による強いストレス
犬や猫は、気圧の急激な変化や雷雨の音、それに伴う生活環境の乱れに敏感です。
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猫に多い特発性膀胱炎(FIC): 特に猫はストレスが引き金となり、頻尿や血尿といった下部尿路疾患を引き起こすことが科学的にも知られています。
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犬の消化器症状・食欲不振: ストレスによる免疫低下から、下痢や嘔吐を起こすことがあります。
避難やレイアウト変更があった場合でも、可能な限り普段使っているベッドやトイレ、おもちゃなどを配置し、安心できる隠れ家を用意してあげてください。
また、飲水量が減らないよう、新鮮な水を複数箇所に設置することが大切です。
最後に
災害後は飼い主様ご自身も心身ともに疲弊されていることと思います。
ペットの様子に「いつもと違う(元気がない、嘔吐する、おしっこの回数がおかしい)」などの違和感があれば、自己判断せずに動物病院へご相談ください。




