この業界で働いていると、

実際の現場の状態とあまりにも乖離した

一部の声が大きい人の

本当に特殊な、

異常な存在が

全体であるような論調を見ることがあります。

どんな業界でも存在しているのだと思うのですが、

陰謀論とかに近いやつですね。

獣医師は利権のためにワクチンをしている。

金儲けのために予防をしている。

必要のない手術をして金を儲けている。

獣医師は悪い存在だ。

などなど、枚挙にいとまがありません。

 

大前提として。

獣医師は利権でお金儲けをしています

ボランティアなどの一部を除けば、

動物病院は慈善団体ではありません。

資本主義社会における一つの商売の業態です。

当然目的はお金を儲けるためです。

お金を稼ぐことにより、そこに働くスタッフの賃金を支払い、

設備の維持、備品の購入、光熱費、家賃、税金などの支払い、

より高い医療提供のための設備投資や、

新しい知見、技術習得のための書籍やセミナー、講義などの費用、

様々なお金を賄うために、

獣医医療という手段を使ってお金を稼いでいます。

そして、動物を診療することによって費用を得るという行為は、

獣医師国家試験という国家資格を得るためのテストをクリアした人にしか与えられない、

獣医師国家資格を持つ人間だけに与えられた権利です。

獣医師国家資格による独占権利です。

まさに、利権です。

動物を診察し、診断し、治療するためには、

獣医師国家資格を持っていなければ、違法です。

これは、悪いことでもなんでもありません。

法律によって定められた適正な行為です。

むしろ、獣医師国家資格を持っていない人間が、

動物の治療と称して費用を取った場合は、

犯罪です。

人間の歯科医師が、動物の歯を治療して対価をもらったら違法です。犯罪です。

鍼灸師が動物の治療をして費用を取ることも犯罪です。

獣医師資格を持たないものが、歯科治療として無麻酔歯石除去を行い費用を取れば、犯罪なんです。

我々が利権で利益を上げていることは、隠しもしていません。

法律に則って適正に行われている行為です。

 

予防によって不当にお金を稼いでいるという指摘もあります。

しかし、これも的外れ過ぎていると言わざるを得ません。

予防は、お金になりません。

正確には、

予防なんて勧めずに、

病気にさせて治療したほうが、遥かにお金になります。

では、なぜそうしないのでしょうか?

それは、病気になって動物が苦しむ。

場合によっては、病気にかかってから治療をしても助けられない可能性だってあるからです。

病気にしてから治すよりも、

病気にさせないようにしたほうが、

苦しむ動物は生まれません。

去勢手術や避妊手術についても、

病気の予防的な考え方もありますが、

自然のままにということをおっしゃる方もいますが、

自然のままに自由交配はさせませんよね?

人間が飼育しているという状態に合わせて、

満たされることのない欲求の根本的な解決のためにも

お勧めしている面もあります。

現代の人間社会で一緒に生きていく十数年という長い時間を

出来る限り快適に過ごしていただけるように、

一回の手術が大きく寄与してくれるということを考えて、

避妊手術や去勢手術をお勧めしています。

繰り返しになりますが、

お金のことを考えるなら、高齢になって病気になってから、

しっかりとした検査、厳重な麻酔、リスク有る個体へメスを入れて、

救うほうが、遥かにお金になってしまいます。

それで苦しむのは、動物です。

我々は、そんな事を望んでいません。

 

そして、こういった話の大前提としての誤解は、

獣医師は動物に幸せになってほしいと考えています。

飼い主様と動物が素敵な時間をできる限り長く過ごせるお手伝いをしたい。

そう考えているんです。

動物に苦痛を与えたいとも思っていませんし、

飼い主様を苦しめようとも思っていません。

病院に来た動物を治さないことに獣医師のメリットは皆無です。

むしろ飼い主様よりも必死です。

動物をしっかりと診断して治療して治さなければ、

獣医師としての名声は下がり、

仕事が成り立たなくなります。

病気を治せない獣医師に存在価値は無いので・・・

そのために必死に勉強して、努力して、

病気を治せる獣医師でいるために頑張っているんです。

病院自体も、出来る限り治療できる、診察できる病気を増やすために

設備投資をしたり人を増やしたり、頑張っています。

もちろん、

高度医療が必要な時に、

きちんと判断してそういった場所を紹介するのも獣医師の能力です。

自分で出来もしない症例を抱え込んで助けられない、

そんな事を繰り返せば、今の御時世すぐにその不名誉な現実は広まってしまい、

事業として成り立たなくなります。

飼い主様の都合もあります。

本当に様々な要因を考えて、最高ではなく、最適最良の選択肢を提示できるように、

獣医師は毎日頑張っています。

これは、どんな仕事でも同じだと思います。

顧客の要望に答えるために、

最大限の努力をしている。

獣医師だって、世の中に有る多くの仕事と同じように、

顧客の期待に答えることで企業としての価値を高め、評価を高めて仕事を得て、

その得た金銭から生活をしているのです。

ちょっとジャンルが特殊なだけで、

普通の社会人なんです。

 

最初から、敵として対面するようなことを言っている

インターネットで声が大きい人は、

もう少し社会に出たほうが良いと思います。

そして、

自分の考えが間違っているかも知れないという事を忘れないでください。

社会は、広く、そして複雑なんです。

そして、

自分が考えていることが現実と違っていたら、

あ、違うんだ。

って考えを変えることは、

別に負けることでもなんでもありません。

どうにも世の中、考え方を変えることを負ける。と考えている人が多いです。

個人的には負けたって別にいいじゃないか?って思います。

間違ったことを正しいと思って生きるよりは、

間違っていたら、きちんとごめんなさい。と謝って。

正しい知識を手に入れる。

人間って、その繰り返しで成長していくものなんじゃないかな? って思います。

 

すみません、たかだか40年程度しか生きていない若造が偉そうなことを言いましたが。

ネットのごく一部の攻撃的で排他的な人達が獣医師を悪者に仕立て上げようとしているのが、

あまりにも、その、世間知らずというか、盲目的なので、ちょっとブログで書いてみました。

正直、獣医師の人って、いい人が多いですよ。

熱い人も多いし、本当に尊敬に値する人が多く、

この世界に自分の身を置かせてもらっていることが光栄に思いますし、

出来る限り獣医師という看板に泥を塗らずに頑張って生きていかなければと思います。

 

獣医師は敵じゃないです。

確かに、ごくごくごくごく稀に、

ひどい人間もいます。

それは否定できません。悲しいけど。

でも、大多数の獣医師は、

動物好きな、人のいい人間が多いですよ。

最初から敵対しないで、少し信用してみませんか?

 

ではまた!!