まずご報告から。

2019年7月16日

病院でかわいがっていただいていたナオちゃんが虹の橋を渡りました。

苦しむこと無く眠るように亡くなって、病院スタッフ一同安心して送ることが出来たことに御礼申し上げます。

 

今回はとてもデリケートな内容になります。

個人の死生観などが関連いたしますので私の言うことが正解とかそういうお話ではありません。

あくまで私個人が死というものに対してどう考えているかのお話です。

 

結論から言えば、飼い主様のご意向が全てだと考えています。

皆様それぞれのお考えを持っているでしょうし、獣医師はその考え方に合わせた選択肢を提示して、その中から飼主様に最も納得のできる治療を行っていく事が使命だと考えています。

最先端の治療をして出来うる限りのことをやるのも、状態を受け入れて現状のまま家で過ごすのも飼い主様のご意向次第だと思っています。

 

誤解を恐れずに言えば、生まれでた生命は全ていずれは亡くなります。

飼育されている幸せな時間を噛み締めながらその最後を迎えられる事ができれば幸せだと考えています。

極稀に非常に不幸な生活の末に亡くなるような、怒りで目の前が真っ暗になりそうな場合を除けば、皆様ペット様を愛されて素敵な時間を過ごすための努力を行われ、その結果として老齢になって別れの時が来ることが大半を占めていると感じています。

病気の種類にもよりますよね、比較的徴候があって予後の予想が立てやすい慢性疾患だと、最後の時間を比較的穏やかに受け入れる期間を一緒に過ごすことが出来る傾向が強いです。

一方で症状が急速に変化するような病気の場合だと、なかなかその現状を理解する時間が作れないこともあります。

最近ではペットを取り巻く環境がとても発展したおかげで、全体的な寿命も伸びる傾向にあって、過去にはなかったような病気や、選択を求められる時が増えました。

高度な医療を受けられるようになった一方で治療費もそれに合わせて高額になる場合もあります。

一昔前に比べると普通の動物病院でも様々な検査が出来ることは当たり前になってきていますし、もう少ししたら今は高度医療なCTなども普通の病院であって当たり前の物になってくるかも知れません。

凄いですよね医療の発展は、人間も100年時代・・・

動物も猫さんの腎不全の画期的な薬や、FIPに効果が出そうな薬の開発が急がれていたりと、一昔前にはどうしようもなかった病気の治療法が出てきたりしています。

人間でも問題になりますが、新薬の莫大な値段はよく議題に上がります。

人間と異なり保険制度が任意のため、さらに補助金制度もないので高額な医療はそのまま飼い主様の負担になります。

動物病院を取り巻く労働状況も古い時代とは雲泥の差です。

労働者の当然の権利が認められつつあるだけなのですが、その結果負担は経営者か、限界が来れば飼い主様にお願いするしかありません。

 

話がそれたのでもどしますが、いつか来る別れの時を出来る限り幸せに、皆さんが納得できようにお手伝いする。それが私の考える獣医師の役目だと思っています。

今後共、死という必ず訪れる事から目をそらさずに真摯に仕事をしていきたい。そう思う今日でありました。

短いですが、本日はこれで。

 

たくさんのことを教えてくれてありがとう。

今度ゆっくりと会いに行きます。