悪性腫瘍、癌。

ペットを取り巻く環境や食事、そして医療の向上によってペットの平均寿命は伸びました。

その結果としてペットの亡くなる原因として急上昇したのが癌です。

よく、ペットフードが悪いから癌が増えたみたいなことをまことしやかに話す人がいますが、違います。

ペットフードが良くなって寿命が伸びたせいで癌になる年齢まで生きるようになった。が正しいです。

つまり、昔は癌になれるほどの高齢までペットは生きることが出来ずに別の病気で死んでいたのです。

このような与太話はネット上には大量に溢れています。

論文なんかを建前に話して嘘を言っている人なんかもいたり、ネットはカオスです。

私が今回話したいことは、癌になったときにネットの情報を鵜呑みにしないようにしましょうという話です。

もちろん、獣医師の中には非常に有益な、それこそ獣医師が見ても勉強になるような素晴らしい情報をネットに上げてくださっている先生もいらっしゃいます。

ところが、獣医師であってもなかなかに香ばしい情報を出している人もいます。

人間もそうですよね。

基本的に日本では腫瘍においては日本獣医がん学会という組織が存在していて認定医制度もあります。

認定医をお持ちの先生のおっしゃることならば、標準治療として正しいと考えていいと思います。

私が今回のブログで一番お伝えしたいことは、

 

悪性腫瘍になった場合はネットや本で知識を得ようとする前に獣医師とよく話し合って、

必要であれば認定医の先生などにお話をしてください。

 

ということです。

まずネットは玉石混交であって、正しいかどうかさえわからない情報で溢れています。

本は比較的正しいことが書かれていますが、ある種のバイアスがかかっている書籍も存在します。

そして、何より大事なのは、その書籍に載っている癌と、目の前にいるペット癌は違うものだからです。

なぜかというと、動物は一人一人、みーんな違う生活をして食事をして生きているからです。

ただの一つとして全く同じ動物の全く同じ位置に出来た全く同じ腫瘍なんて存在しないからです。

だからこそ、目の前のペットと病気に向き合ってくれる眼の前の獣医師の話を聞いてほしいんです。

セカンドオピニオンはだめ、絶対に目の前の獣医を盲信しろ! なんてことは一言も言っていません。

話した結果、納得がいかなければセカンドオピニオンや認定医の先生を受診することは全然OKです。

その時にネットに行かないでください、無責任などっかの誰かの言葉を鵜呑みにしないでください。

貴方のペットを治そうと努力する眼の前の獣医師とよく話し合ってください。

ご不安なのはわかります。痛いほどわかります。

私もペットの飼い主として腫瘍によって飼い犬も飼い猫も亡くした経験があります。

私の実家は多頭飼育家庭だったので、たくさん見送ってきています。獣医師は動物病院という場でたくさんのお別れを経験しています。

自分が飼育していなくたって、動物が亡くなることにたくさんのショックを受けながらも必死に仕事を続けて生きているのです。

敵じゃないんです。獣医師は貴方の味方なんです。

一緒に頑張っていきましょう。

なんでも聞いていきましょう。

もし、万が一その話を聞いてくれない、そんな場合は病院変えちゃいましょ。

獣医師と飼い主様との信頼関係無く癌という病気と戦うのは難しいです。

病院の中で看護師でも獣医師でも話をきちんと聞いてくれて飼い主様が納得して一緒に治療ができる環境づくりを怠る病院は避けたほうがいいと思います。

 

ただ、気をつけてほしいのは、なんでも聞いていいんですけど、ちゃんと答えを受け取る姿勢で聞いてくださいね。

適当に思ったことを質問して、別に答えも聞いてないから何度も何度も同じ質問や意味のない質問を繰り返されると、流石に真面目に答えているのが馬鹿らしくなることがあります。

お互いが真摯でいるのは対等であたり前のことなので、人としてそれはしっかりと理解しておいてください。

あと、言質を取ろうとするも非常に失礼だし不愉快になります。

最近多いですね、本当に、正直信頼してないならよそに言って欲しいと思います。

そういう人は私と合わないので、当院に来るのは時間の無駄なので他所の病院に行くことをお勧めします。

お互いの大切な時間を浪費しないためにもはっきり言っておきます。

私は動物の診療に真摯でいようと常に心がけて仕事に向き合っているので、それを卑下するような方は当院にいらっしゃらなくて結構です。

 

ありがたいことに当院の飼い主様は素晴らしい方ばかりなのでそういったことは伝え聞くことぐらいしか有りませんが、極稀にいることは知っています。

そういう人にははっきり合わないから他所の病院へ行くようにと伝えます。

私に言われたらよっぽどだぞ、ってくらいおおらかな気持ちで仕事してますけどね。

 

と、言うわけで。

難しい病気、悲しいこともある病気ですが、きちんと獣医師、看護師、飼い主様と手と手を取り合って一緒に戦っていけることを心から望んでいます。