動物病院の診療は自由診療です。
病院ごとに処置や薬、手術などの価格設定は自由です。
その結果、同じことをしても値段が異なることがあります。
これらの価格設定は、様々な要因によって決められています。
病院の規模、設備、人件費、わかりやすいところはこれらの点だと思います。
それ以外にも、例えば最新の情報を得るために様々な学術大会に参加していたり、勉強会に参加していたり、実習を受けたり書籍を購入したり、そういった知識の育成や技術の研鑽のための投資なども加わります。
専門書は高価、時には十数万する本もあります。
手術手技を習得する講座などは数十万から数百万位することもあります。
こういった投資はなかなか患者さんの目には見えませんし、気が付きにくいですが、非常に重要です。
そういった投資はその獣医師が多くの患者を救っていくための投資となります。
病院の規模が大きければ当然診療費用は高くなります。
設備を整えているのなら高くなります。
人が多いなら高くなります。
きちんと勉強をしていれば高くなります。
値段というものは、『価値』です。
同じ処置に見えても、その背景にたくさんの投資によって価値が高まっているんです。
わかりやすいので避妊手術、一見すると同じ事をやっていると思われると思いますが、内状は千差万別です。
検査もなんにもしないで、注射麻酔をしてマスクで維持して使い捨て手袋で未滅菌の道具を消毒して使い、安い再滅菌する巻糸を使って手術する病院も有れば(もう、ないかなー・・・?)
術前検査をしっかりと行って、静脈ラインを確保して、複数の薬剤を組み合わせて導入して挿管、各種モニター、専用の機械で体温管理や血圧管理を行い、疼痛管理など各種ケアをきちんとした監視下で行って再利用しないディスポーザブルな道具を使って、きちんと滅菌された器具をちゃんとした教育を受けた獣医師が執刀して、助手にも獣医師が立つ。術後のケアもしっかりとモニタリングして行い、入院管理を行う。
前後の手術、両方とも名前をつけるのなら「避妊手術」です。
この2つの手術の値段に差があるのは理解していただけると思います。
しかし、獣医師は謙虚なので、きちんと後者のような手術をしても、それを当たり前と思っている意識の高い獣医師であれば、わざわざそれを誇ったり宣伝したりはしません。
値段には、意味があります。それが価値です。
もちろん、前者の手術をしながら後者の値段を取る人もいますから、注意しなければいけませんが・・・
獣医療を取り巻く環境は日々進化しています。
最近の若い先生は、先程話した後者の手術をスタンダードだと習っている人がほとんどだと思います。
さらにはシーリングと呼ばれるとんでもなく高い機械を使って身体に糸を残さない手術しかしたことがない人だっていると思います。
テクノロジーの進化は、日進月歩で進んでいますから。
例として避妊手術を上げましたが、すべての処置はそういった要素が複雑に絡み合っています。
あとは、働いている人の賃金が最低賃金を割っていたり、長時間労働、サービス残業で支えられていたり・・・
単純な価格での比較で病院を決めるのは、私はおすすめしません。
安いには安い理由があります。
高いのには高い理由があります。
大切なペットのために相性のいい病院を選んであげてください。
ではまた!