打つ手のない病気、世の中には存在します。
そういう時に浮上してくるのがトンデモ医療。
弱りきった心に忍び込み、なんとかして何かをしてあげたいという気持ちを利用する・・・
本当に、恐ろしい、怖い、私はそういう感情しか無い。
よくそんなこと出来るよね・・・同じ人間なのか? と疑ってしまう。
でも・・・一部の人間は自分の利益のために他人の尊厳や心情を踏みにじれるんですよね・・・
そして、最も厄介なことは、本気で信じて広げる人間が一定数いるんですよね。
これ、根本は善意なんですよ。
そして、その拠り所は、自分の体験。
しかも、偶然だったり勘違いだったりする、科学的な根拠に乏しい事象。
どっかの誰か、実態があるかもわからない噂話。
正常な判断ができない時に、刷り込まれると、信じ込んでしまう。
様々な手段で多くの人間を騙しているネズミの親玉はほくそ笑んでいます。
子ねずみは必死に信じ切って今日も善意の凶器で他人を殴ってお金を持ってきてくれるんです。
信者・・・儲けを産む最も効率的なシステム。
気をつけてくださいね。
私は、標準医療を大切にしています。
標準医療を大切にする大きな集団である獣医師の中のひとりに過ぎません。
個はどうでもいいんです。
現状の獣医医療にとって最も失敗がなく、成功する可能性の高い方法を着実に行う事が、最も多くの動物を助けることが出来る。
そう考えて、その群れに入っています。
その方法が、最も多くの動物を最も効率がよく救える。
動物を幸せにできると信じているので、日々新しい知見に目を通して、頭で考えて、身につけて、実行しています。
もちろん得手不得手は当然あるので、適切な振り分けができるように、やらないことも勉強します。
そういった日々の努力を、多くの標準医療を大切にする獣医師たちは当たり前のように行っています。
トンデモ医療は、そういった努力をしません。
よく説明できない謎の力が病気を治してくれる。
それが革新的な方法で素晴らしい方法である可能性もあります。
しかし、実際にはそんなうまい話はめったにありません。
何か画期的な方法が産まれるまでは膨大な積み重ねがあります。
もう少ししたら再生医療が台頭してくると思います。
10年前には考えられなかったでしょう。
しかし、その方法を実際に医療現場で実行するために凄まじい研究が行われ、厳しい検証を受けて日の目を見ます。
そんなに簡単ではないんです。
特に、こういったトンデモ医学で最も問題な点は、
標準医療や他者を攻撃的な言動で否定することです。
その否定が科学的な根拠に則った正当性のある発言なら良いですが、ほとんどが、感情的な嫌悪表現です。
そして、その攻撃の結果、人々を導く先が、自分の商品の売り込みです。
この方程式に当てはまるものは、ほぼ詐欺と考えたほうが良いと思います。
獣医師を始めとした医療従事者は、日々動物を幸せにして、病気や怪我から救うために不断の努力をしています。
もし、有効な方法が新しく産まれ、それが本当に有益なら驚くほど早く広がっていきます。
獣医師ネットワークは結構密です。
勉強会に出たり、学会に参加したり、同級生と話したり、先輩や後輩と話したり、
獣医師集まって普通の飲み会でも気がつけばそこらじゅうで仕事の話になっています。
あの病気にこれが良いよ、この治療にはこの方法が良いよ。
いつも思います。
ああ、獣医師という仕事をしていて、ありがたいなぁ・・・
こういう人達と同じ仕事が出来ていることが光栄だ・・・って。
それくらい、毎日一生懸命です。
多くの病院でやっていない治療方法は、メッチャクチャ大規模な施設が必要なものでなければ、直ぐに広がります。
本当に効果があるなら。
気をつけてください。
善意の凶器で貴方を殴りに来る人や、貴方をすり潰して自分の利益にしようとしている人に・・・
ではまた!