熱中症
飼い主の注意によって100%防げる、死ぬ病気
「ゆで卵を生卵に戻すことはできません」
めっちゃ暑いと、
皆様気をつけてくださるので、
熱中症は起きにくくなっています。
(未だにクソ暑い昼間に散歩してる加害者も見ますが……)
でも、
心地良ぐらいの暖かさ、
これくらいじゃぁ熱中症にはならないだろ、
と、
油断させる穏やかな暖かさ、
そんなところが、
実は危ないんです。
外に出ると、
風が気持ちよく、
ポカポカした陽気の日でも、
密閉された空間では、
思わぬ高音になってしまったりします。
代表例が、
車
です。
ほんの少しのつもりで、
ちょっと車から離れて、
戻ってきて扉を開けると熱風がむわっ・・・
ペットがぐったり・・・
そんな悲劇を起こさないようにしましょう。
窓をちょこっと開けておけば・・・
確かに開けないよりはいいですが、
日差しのあたった車内の空気をしっかりと換気させられるほど窓を開けると、
ペットは逃げます。
日差しがガンガンにあたった状態で、15分もアレば、
もう、致命的なダメージが起きてもおかしくありません。
じゃあ5分ならいいのか?
そういう話じゃないです。
車にペットを人の目を離して置いておかない。
もし、どうしても置いておくなら、
クーラーをガンガンにたきましょう。
寒くても死にませんが、暑いと死にます。
お家も条件が揃えば、風通しを確保しなければ、
想像よりも暑くなる可能性はあります。
大丈夫か大丈夫じゃないかギャンブルするよりも、
しっかりと風通しを確保するか、
クーラーをつけましょう。
寒くても温かい場所は毛布などで作れますが、
暑い場合には涼しい場所がない場合が多いです。
クーラーをつけましょう。
こんな時期に?
ええ、こんな時期にです。
どうしてここまで言うか。
死ぬからです。
しかも、
管理の責任が100%で、です。
多分大丈夫だろう、とギャンブルして、
駄目だったら、
死ぬのは動物です。
熱によるダメージがある程度を超えると、
どんな治療をしても助かりません。
発見したら水をぶっかけたり、
体温を下げる処置をしながら動物病院へ駆け込んで、
必死に治療しても、
ダメージがある線を超えていたら、
誰も助けられません。
体温が下がって、一時的に意識を回復した後に、
多臓器不全で亡くなります。
そして、
防げる病気です。
予防がある病気と同じです。
我々獣医師が、
予防の啓蒙や、
こういった防げる病気の啓蒙をするのはなぜか?
死んでほしくないからです。
動物に苦しんでほしくないからです。
飼い主様に悲しんでほしくないからです。
注意:こっから猛毒を吐き散らかします。
言いたいことは、熱中症に気をつけてだけなので、
ここからは完全に蛇足です。
見なくても問題ありません。
たまにズレた事言う人が居ます。
動物病院は金儲けのために予防を勧める。
頭がとても悪い発言なので、
口から発するのも文字にするのも止めたほうがいいです。
金儲けのためなら、
防げる病気を防がないで、
病気にさせてから治療したほうが、
予防する何倍も儲かります。
病気によって弱らせて、それを治療したほうが、
金になります。
予防はできる限り多くの人に行ってもらいたいために、
薄利でやっています。
我々の技術を最大限に活かす入院や手術に比べれば、いくら回数が多くても、比較になりません。
すげー雑な架空の数字で説明します。
予防、ノミ・ダニ、フィラリア、ワクチンとしましょう。
ノミダニフィラリアのお薬で500円、ワクチンで2000円利益を出せたとしましょう。
一年で 500*8+2000、利益として1万円です。
15年続けて、ようやく15万円です。
では、フィラリアによる心臓病によって入院したら?
状態にもよりますが、長期入院でその後の投薬なども考えれば、
利益は15万どころじゃありません。
病院が利益とか言うなとか言う人もいますが、
利益を出さなければ続けられないんです。
箱物にかかる費用、機器にかかる費用、人件費、光熱費などなど、
きちんとした利益を得るのは、病院存続の最低条件です。
避妊去勢手術、利益なんて数千円から1万円とかです。
子宮蓄膿症になりました。
乳腺腫瘍になりました。
前立腺肥大、肛門周囲腺腫になりました。
入院です手術です治療です。
多分利益的には十万とかそういう話でしょう。
技術料や知識の価値を0円として考えるふざけた計算ですが……
ほんの少し考えれば、
すぐに分かることを考えずに、
自分に都合のいい短絡的な意見が事実だと思ってしまう。
人間の罪深いバイアスです。
皆様は、きちんとした情報を収集して、
頭で思考して、
幅広い目線を持ってくださいね・・・
ではまた!!