咳。

コロナウイルスが猛威を振るい

マスクでの生活を強いられ、

公の場所で咳でもしようものなら一斉に冷たい目線で睨まれる昨今。

動物における咳は、

非常に大事なサインになることを

皆様にも知っていただこうと思います。

カッカッ、コンコン、ゲホゲホ、ゴホゴホ、

咳と言っても色々なタイプがあります。

音で表現すると、

カッカッ、コンコンといった感じの乾いたような音が

乾性の咳、

ゲホゲホ、ゴホゴホといった、濁った感じの咳が

湿性の咳です。

一般的に、

乾性の咳は気道刺激によって起こされる反射に伴う咳で、

湿性の咳は分泌物などによって起こされる咳です。

湿性の咳は、重度の肺水腫や感染性肺炎、浸出液を伴うような肺腫瘍など

非常に重篤で、すぐに命に関わるような病気も存在するために、

注意が必要です。

乾性の咳も心不全のサイン、気管疾患、肺疾患の可能性があったり、

早く対応したほうがいいので、

基本的には咳をしていたらかかりつけの動物病院へ行きましょう。

一週間に一度もやらない、埃っぽいところに入った後にしたりする、

など、あまり心配いらないような咳もありますが、

ついでに全身も診てもらうようなつもりで動物病院へ行ってもらったほうが、

私は安心します。

咳と言っても気管や肺だけじゃなく、アレルギーなど全身性の病気の可能性だってあります。

全身をよく診察して、聴診や問診をしっかり行います。

ここ最近の家庭での変化はないか、

たとえば冬になって暖房を使い始めたら咳が出始めたり、

新しい植物を買ってから出たり、

絨毯を変えた、模様替えをした、除菌スプレーを使うようになった、空間除菌をし始めた、

様々な要因が咳と絡んでいる可能性があるので、

飼い主様の情報が頼りになるので、

出来る限り細かく教えていただきたいです。

 

追加検査としては、超音波検査とレントゲン検査が一般的だと思います。

呼吸器疾患では、昨今のコロナでも大活躍しているCTが非常に有効なのですが、

人間と違って大きな病院で麻酔をかける必要があります。

動物病院でもCTまで有るところも増えていますし、

紹介してもらえることもあります。

一般的な検査で診断が難しかったり、

治療の効果がうまく出ない場合は、

私もおすすめしたりします。

もちろん全身性疾患に対してのスクリーニングとして血液検査も行うこともあります。

咳が主訴でも別の疾患が隠れていたりすることがあります。

お腹の中の腫瘍が原因で臓器が胸の方に押し込まれ、

心臓が押されてしまって咳が出ていた。なんて症例もありました。

お腹も膨らんでいたのですが、飼い主様は咳に気がついて来院されました。

ここで、咳だから胸だ。と胸だけ診ていたら見落としていたかもしれません。

大事ですね。全身をちゃんと診ることは。

治療は原因次第でいろんな種類の方法があります。

まずは病気の原因をきちんと診断することが大事になります。

とはいえ、完全に診断がつかないこともあります。

治療を先に行い、治療反応から病気を探る、診断的治療を行うことも少なくありません。

きちんと治療を行い、治療評価をして、

症例ごとに適した方法を探っていきます。

 

冬場になって寒くなり、

咳が出やすい環境でもあります。

病気じゃないような咳もありますが、

呼吸という命にとって絶対に必要な行為に関わるので、

出来る限り早い段階でかかりつけの動物病院へ相談してくださいね。

元気がなくなってしまったり、体重が落ちてしまったり、

進行した病気を治すことはとても大変になります。

早い発見と治療で、病気を治していきましょう!

 

ではまた!!