藁にもすがりたい。

そういった気持ちにつけこんで、

とんでも医療を勧める。

これ、本当に恐ろしいことだと思います。

もっと出来ることがあったのに、

きちんと治すことが出来たはずなのに、

その機会を奪われて、

大変つらい状態になってしまう・・・

そんなことをやる人間は、さぞ悪人なんだろう!! って思いますが、

本当の悪人もいます。

とんでも医療になんの意味もないとわかっていながら、

信者相手に儲かるからやっている人間はいます。

ですが、

心の底からそういった方法を信じて、

善意を元に行っている人間もいます。

うまく行かなかったら、再び診ることはなくなります。

うまく行ったからまた診察に来たりしてくださるわけですから、

そういったところにだけ目を向けてしまって、

盲信してしまう。

たぶんそうやって沼にハマっていってしまうんだと思います。

想像ですけど。

 

とんでも医療は、基本的にデータをしっかりと集めません。

参考にしているものは、

どっかのとんでも医療をやっている人が集めたなんの意味もないエッセイだったり、

なんの医学的な根拠のないブログだったり、

最も多いことは、

個人の感想です。

個人の感想に、医学的な根拠となりえるものは含まれません。

しかも、

良い感想しか宣伝には使いませんから。

そういったとんでも医療を利用する人は、

どうにかして効果が出ないと困るという心理から、

冷静に物事を判断できなくなります。

科学的に言えば、二重盲検試験という検査を行ってきちんと客観的な評価を出すべきです。

二重盲検試験というのは、

薬と偽薬(その成分が含まれていない薬)を用意して、

処方する側も受け取る側もどちらかわからない状態で治療成績を評価します。

そうすることで、

本当に薬や治療方法によって治療結果が出たのかがはっきりとわかります。

そういったデータを集めたものが、

根拠の有る論文などになって発表されていき、

そうして初めて薬や治療方法が効果のあるものだと判定されます。

そういったデータを過去から積み重ねて来たのが、

今の標準治療です。

標準治療は、多くのデータから間違いなく効果があると判定された治療方法の集大成です。

標準というと、その上に最高とか究極とかありそうに聞こえますが、

まさに標準治療こそが、現代社会における最高の治療方法なんです。

最高、最適のほうが良いかもしれませんね。

病気に対して、もっとも効果を期待できる方法です。

そういった標準治療を邪魔するとんでも医療は、

患者さんを害する行為です。

どうか皆様も騙されないように気をつけてくださいね。

 

ネットを利用して情報を集めると、

当然ですけど良いことしか書かれていません。

当たり前です。

宣伝なんですから。

ランディングページと呼ばれる縦長の広告に、

良さそうな文言、

どこどこ大学の研究、

体験者の感想が、

大量に書かれていても、

それは、なんの担保にもなりえません。

大丈夫です。

本当に効果があって画期的な治療方法は、

そんなインターネットに美辞麗句を並べなくても、

あっという間に広がります。

他のやり方を持ち出して、デメリットを書いてあったら、もう赤信号です。

自分の商品の有効性を訴えるのに、他者を貶める必要なんて無いんですから。

ただ自分のやり方の正しさを、

客観的なデータで示せばいいだけです。

使用者の9割が満足! とかのいくらでもいじれる数値ではなく、

2010年の科学論文において、二重盲検試験を行い、この成分がこの病気に効果があることが認定されました。

こうやって科学的事実を示すだけでいいんです。

世の中に蔓延するとんでも医療。

標準治療の邪魔をしなければ、

勝手にお金を捨てるだけなので良いですが、

本来受けるべき標準治療を妨害して、

とんでも医療に落とし込むような人間は、

地獄に落ちると思います。

そんなことで金稼ぎをする人間を、

心から軽蔑します。

 

個人の感想です。

人間はね、気持ちの持ちようで効果が出ます。

プラシーボ効果という、それこそ、きちんと科学的に証明された効果があります。

でもね、

動物本人には、

そんな効果は出ません。

飼い主様の印象が変わっただけで、

動物本人の状態は何も変わっておらず、

本来だったらその時点で治療をすればどうにか出来たかもしれない子を、

手遅れの状態になってから診ることになるのは辛いです。

せっかく投薬によって状態が良くなった子が、

そういった方法にはまって投薬を止めて、

ボロボロになって戻ってきた時に感じる無力感と怒り・・・

炎症で真っ赤になって、本人も辛そうなのに、

「コレは好転反応だって言われて・・・」

と、長期間ボロボロのまま、つらい状態で過ごした動物に、

なんの罪があるのでしょうか?

どうか、どうか、どうか、動物のために、標準治療を受ける機会を奪わないで上げてくださいね。

 

もちろん、

健康であればどんなことでもやるわけじゃありません。

受け入れて、理解して、出来ることをやらないという選択肢を私は一切否定しません。

きちんと飼い主様がご理解をして、

自分の意志で方法を決めることが大事です。

事実に基づかない夢のような方法で飼い主様を騙して、

とんでも医療に落とし込むことが、

許せないだけです。

そして、とんでも医療って、笑っちゃうほどぼったくるんですよね。

責任も取らないくせに・・・

ホント嫌いです。

 

ちょっと、気持ちが入ってしまいました。

ではまた!!