動物が耳かゆい時、後ろ足でガリガリ掻いたり、
首をブルンブルンと振り回します。
時には何かにこすりつけたり、
もう一心不乱にそういった行動を取ります。
可哀想ですよね。
そういった行動を取る時に多い原因は、
外耳炎です。
目や歯、皮膚が原因のこともあるので注意は必要ですが、
今日は外耳炎、耳がかゆい時のお話をしたいと思います。
外耳炎の原因は、
細菌性外耳炎
真菌性外耳炎
寄生虫性外耳炎
アレルギー性外耳炎
腫瘍性外耳炎
などが多いと思います。
耳の中の細菌バランスが崩れて、
ある種の細菌や真菌にアレルギー反応を起こす、ちょっと複雑な場合なんかもあります。
動物が耳を気にしていたり、
頭を振っていたら耳を覗いてみましょう。
真っ赤になっていたり、
大量の耳垢があったら、
動物病院で診てもらいましょう。
ここで逆に何もないように見えて、
いつまでも続くかゆみがある場合も、
動物病院へ行ったほうがいいかもしれません。
深い位置に病変が存在している可能性があり、
外から把握できない性で長い期間放置することになってしまうかもしれません。
耳のトラブルは時間が経てば経つほど厄介になります。
どんな病気もそうですが、
早期発見早期治療が大前提です。
耳の場合は特に大事です。
耳は洞窟のように細く深い構造をしています。
炎症を放置しているとだんだん耳の内側の粘膜が肥厚してきます。
皮膚が分厚くなれば当然トンネルも狭くなります。
過剰に耳垢、狭いトンネル、換気も悪くなり温度も上がり、
余計に悪いことする奴らが元気になる環境が出来ます。
また、耳道が狭くなるせいで洗浄なども困難になります。
最終的には耳の穴がふさがってしまいます。
こうなってしまったら最終手段で手術をするしか無くなってしまいます。
耳道切除、耳の穴の内部を取り除く大きな手術になってしまいます。
耳の奥の方、中耳から内耳は脳の直ぐ側です。
外耳炎が激しく周囲に波及し、
ひどい中耳炎や内耳炎を起こすと脳に異常を来す可能性も出てきます。
最終的には命に関わります。
外耳炎というと、
そこまで深刻なケースと結びつきにくいですが、
重度で慢性化した外耳炎は、
CTやMRIを必要とする、
命に関わる問題に繋がります。
早期発見早期治療は本当に大事です。
お家での観察、
それと日常のケアも大事です。
特に覚えていただきたいのは、
耳掃除は
絶対に水道水でやってはいけません。
乾いた綿棒で掃除してはいけません。
専用の耳道洗浄液で掃除してください。
綿棒を使う場合は、本当に力を入れずに優しくやってください。
コットンを柔らかく伸ばして、
指に巻いて優しく吹く方法や、
専用の道具を使うことをおすすめします。
汚れの量が多い、赤くなっている場合は掃除をしないで動物病院へ行ってください。
トリミングなどの時に発見されることもよくあります。
指示を受けたらできる限り早い来院をお願いいたします。
猫さんの場合は、定期的な耳の掃除は逆に危ないかもしれません。
とても繊細なので、プロに任せていただいたほうがいいかもしれません。
病院ではいろいろな手段で耳の奥までしっかりと見るようにがんばります。
もちろん症状が強すぎる場合は先に治療をする場合もあります。
臨機応変に症例ごとにしっかりと診ていきます。
実は怖い病気である外耳炎、
場合によっては鎮静などをかけてしっかりと処置をすることだって有りえます。
なかなか治らないこともあったりしますが、
定期的にしっかりと観察治療をすることで動物の生活の質を高めていきましょう!
当院も、計画通りに行けば来年度からより高いレベルの耳科診療が行えるはずです。
お待ち下さい。
ではまた!!