はじめに、私は動物が普通に好きですが、熱心な動物愛護活動を行っているわけではありません。

獣医師として生きていることは、多くの動物を助けることにつながっているとは信じていますが、

自分の人生を賭けて動物愛護のために戦っている人たちと並べるような人間ではありません。

それでも、最近の流れに、大きな疑問を感じています。

今日は、そんな内容のブログです。

 

最近、保護犬、保護猫の譲渡が活発です。

様々な媒体が、保護犬、保護猫、

悪質なブリーダーで繁殖に使用され、

引退したあとの動物や、

様々な理由で保護された動物が、譲渡される仕組みが増えています。

 

それ自体は、いいことだと思います。

今まではどうなっていたのか、

例えば引き取り屋、そういった出産できなくなった動物を引き取って、

新たな出産動物を入れるために場所を開ける。

引き取った動物は、ろくな管理もしないで飼い殺していく、

そんな恐ろしいことを平気で行う人間がいました。

今でも、います。

それはどういうことかと言えば、

救っているのは、なんでしょう?

動物でしょうか?

違いますよね。

こういった行動で救われるのは、

繁殖屋の稼ぎです。

悪質ブリーダー、繁殖屋、繁殖工場にとって、

子供を産めなくなった動物は、

はっきり言って邪魔なんです。

それらの動物を飼育している場所はさっさと新しい母体を入れたいんです。

そういった思惑が噛み合って、引取屋という商売が産まれました。

そんなことをしていたら、

劣悪な環境で新たに出産させられる道具になる不幸な動物を増やすだけです。

最近の保護動物ビジネスは、

こういった引取屋の名前を変えただけの活動になっているところもあります。

保護動物たちは、ボロボロです。

特に、そういった劣悪環境で暮らしていた子たちは、

総じて口腔内環境が酷いことになっています。

歯石、歯肉炎、もしくは歯が無くなってしまっていたり……

表情もなく、ガリガリで皮膚や被毛のコンディションも悪いです。

そんな子が、お金になる子供を生むためだけに狭いケージの中で糞尿に紛れて生活していたと思うと、

心が張り裂けそうです。

 

そして、そういったところから、引取り、

保護動物の名札をつけて、

フードのサブスクや飼育道具をセットで売って、

ビジネスとして行う。

酷いところだと、

自分が子犬、子猫を売るビジネスをしながら、

繁殖場所の引退犬や、

売れ残った動物を、

なんとかお金に変えながら、

まるで動物愛護ビジネスをやっているかのような

ブランディングに利用しているところまであるように感じます。

もし、善意からこういった劣悪環境から動物を保護するなら、

絶対に同時に行わなければいけない行動があります。

それは、

そのようなボロボロの動物を生み出すような、

劣悪ブリーダー、繁殖工場、パピーミルを廃業にさせて、

そこに関わった人間にもう二度と動物を扱う業界に関わらせないようにする。

それがなければ、

ただの引取屋です。

助けているのは動物じゃありません!

動物虐待加害者の儲けの手伝いをしていることになります!

愛護活動だと銘打って、

クラファンなどで寄付を集めて、

その実やっていることは繁殖工場の下請け業者では、

なんの意味もありません。

 

ただ、今はそういった団体を避難するよりも先にやらなければいけないことがあると思います。

何よりもやらなければいけないことは、

極悪ブリーダーや、繁殖工場のような、

数百から1000を超えるような生体を、

狭く暗く不衛生な環境で飼育しているような、

巨悪を徹底的に糾弾することが何より大事だと思います。

クラファンで私腹を肥やすようなインスタ自己承認欲求愛護もどきなどは、

この際放っておいて、

今は本丸である巨大動物虐待繁殖工場を倒すことに、

動物愛護の活動をやられている人々は力を合わせるべきじゃないでしょうか?

闘う必要のない、少し方向性の違う愛護活動団体同士が罵り合ったり、

そういうことじゃなくて、

みんなでそういった巨悪に目を向けませんか?

保健所に講義の電話を入れるよりも、

巨悪を攻めませんか?

保健所を動かすために、そういった情報を集めて、繁殖工場を、本当の敵と戦うべきじゃないでしょうか?

 

長野県松本市で1000匹を超える繁殖工場が摘発され、

関係者が逮捕されました。

 

これ、今がチャンスだと思います。

もし、あなたが動物が好きだという理由でボランティアや、

自分の望まないような酷い環境で生きている動物の世話をして心を痛めている方々、

そういった情報を世間に流して、

そういった巨悪を倒しませんか?

もう、令和ですよ。

いい加減、減らしましょうよそういうこと。

 

私は、こういった巨悪を倒していくだけでも、

数年から十数年、いや、数十年かかるかもしれないと考えています。

今すぐ生体販売禁止なんて、

簡単に言うことは出来ません。

問題があまりに山積みだからです。

だから、まずは最も酷いところからなんとかしませんか?

攻めやすいところを攻めるんじゃなくて、

本当に不幸になっている動物が多いところ、

そして、本当に地獄のような環境の場所から潰していきましょうよ!

動物のため、その点で、手を取り合って、

気に食わないことも、ここは目をつぶって、

大きな巨悪を倒すために、

一緒に頑張りませんか?

 

僕は、そう思います。

 

珍しく、熱くなりました。

 

ではまた!!