寒くなってきました。
最近は一日中暖房を入れっぱなしで、
動物のために電気代を稼いでいる方も多いと思いますが、
やはり昼の間や睡眠時間は空調をオフにしているご家庭もあると思います。
冬になり、寒くなってくると、多く起きてくるのがおしっこトラブルです。
細かく何度もトイレに入る。
場合によっては痛みから悲鳴を上げながらおしっこをする。
小さなおしっこが何箇所もされている。
普段しないような場所でおしっこをしてしまっている。
こういったことが起きていると、
おしっこ関係のトラブルが起きている可能性があります。
特に怖いのが、
オスの猫さんに起きる尿路の閉塞、
尿閉
です。
膀胱からおしっこの出口までの間で詰まってしまい、
おしっこが外に出せなくて、膀胱がパンパンになってしまい、
急性の腎不全を引き起こし、
処置が遅れれば、命に関わるような怖い病気です。
腎臓から膀胱へつながる尿管が詰まるのも同じくらい怖いのですが、
そちらは発見が難しいです。
発生頻度の高い尿道(膀胱から陰茎の間の尿路)の閉塞についてです。
詰まってしまう理由はいくつかあります。
膀胱炎が発生し、炎症を起こして尿道が腫れてしまう場合、
細菌と白血球が混じった膿が詰まる場合、
尿石が詰まる場合、
角栓と呼ばれる蝋のようなものが詰まる場合が多いです。
レアケースとしては腫瘍などもあります。
基本的には緊急的にその閉塞を解除してあげることが治療になります。
発見は、超音波やレントゲンで、
明らかに異常な膀胱への尿の貯留や、
血液検査などによって尿毒症を確認することで発見できます。
とにかく、詰まっていて出せない尿を体の外へ出してあげないといけないので、
閉塞を解除させることを目指します。
陰茎からカテーテルを通して、
物理的に閉塞を解除する方法が最も一般的です。
ただし、
症例ごとに取れる手段は異なります。
時間がたってしまい状態が悪すぎるなら、
注射器等で膀胱から直接尿を排泄させ、
点滴をして全身状態を改善させてから処置を行ったり、
性格によっては麻酔や鎮静をかけてあげたほうが良かったり、
症状一つ一つに適した方法を考えて行います。
尿閉は、時に命に関わる重篤なことになります。
おしっこが出せなくて一過性な腎不全も、
時間が経てば腎機能が回復できない不可逆的な腎不全になってしまいますし、
尿毒症状態に長く滞在すれば、
治療反応がどんどん悪くなります。
閉塞を解除しても治療に時間がかかったり、
場合によっては治療の甲斐なく亡くなることもあります。
どうしても解除ができない場合、緊急で手術になることだってあります。
状態が悪く、さらに処置も困難な場合の手術は、危険が伴います。
手術手技的にはそこまで困難な手術ではなくとも、
状態が悪ければ望むような結果にならないこともあります。
大事なことは、
おかしいなと思ったら、できる限り早く対応すること、
慢性的に何度も繰り返すような場合は、きちんとした対応をしたり、
そういったことを起こさないようにするような根本的な手術を選ぶ必要があります。
原因もいろいろあるので、日常にケアできること出来ないこともあります。
その子その子に必要な備えは、
かかりつけの動物病院に聞いてしっかりとやってあげてください。
どんな猫さんにも言えることは、
きちんと安心して排泄できるトイレを作ること、
飼育頭数+1以上のトイレを用意してあげること、
常に清潔に保つことは大事です。
必要であれば食事療法やサプリメント、投薬などを続けることもあります。
水分は多く摂ることが重要なので、
水を飲んでくれる仕組みを作ったり、
ウエットフードをうまく利用したり、
水分補給用チュールなどの商品を利用したり、
寒暖差のあるような環境を作らないなどの努力が大事です。
起こってしまうと、
重大な問題になってしまうことがある尿閉、
日常のケアと、
異常を感じたら一刻も早くかかりつけの動物病院へ行ってあげてくださいね。
繰り返すような子は、よーく獣医師と相談してくださいね。
ではまた!!