重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome : SFTS)

名前が非常に恐ろしい病気ですが、動物にとっても人にとっても非常に恐ろしい病気です。

マダニが媒介、マダニを介して病気を移される可能性がある言われている病気で、ウイルス性の病気です(ブニヤウイルス科フレボウイルス属SFTSウイルス)

とても新しい病気で国内では2013年に初めて報告された病気です。

人がかかると、発熱、消化器症状、頭痛、筋肉痛、意識障害や失語などの神経症状、リンパ節腫脹、皮下出血や下血などの出血症状などを起こすと言われています。

なんと、致死率は6.3~30%に上ると言われています。

有効な治療方法は存在せず、対症療法が治療の中心になってしまいます。

そして、我々ペットを飼育する人間や、その動物を診療する人間にとって最も大変なのが、マダニに直接噛まれてウイルスを受けるだけではない点です。

 

人間同士の体液による伝播(広がること)、それにペットを介しての伝播をしてしまう病気なのです。

 

犬や猫がマダニに噛まれてウイルスを移されると、その体液を触れて人間がかかることがあります。

特に猫が重症化しやすいと言われていて、発熱、元気消失、白血球減少、血小板減少、高ビリルビン血症などの症状が出ると疑わしくなります。

この場合、唾液や血液に触れることで病気にかかってしまうことがあります。

2019年5月29日現在、MID国立感染症研究所によると、421名の方がこの病気にかかったと診断され、そのうち66名の方が亡くなっています。

そして、421名の中には獣医師と動物看護師が含まれております。

病気の猫を診察したことで感染してしまったのです。

今の所は東京での1例を除けばほぼ全て九州、四国、中国地方を中心とした関西に限定しています。

ところが、シカなどの抗体陽性(一度SFTSにかかった可能性がある)はもっと広くなり、ウイルス遺伝子陽性のマダニは全国に広がっています。

近い内に体調不良の猫さんの診察は映画アウトブレイクのように防護服に身を包んでしなければならない可能性もあります。

ワンちゃんやネコちゃんのマダニ予防は、ご自身の命を守ると共に、我々獣医療従事者の命も守ることに繋がります。

どうか、マダニ予防、考えてください。

できればネットで買わないでかかりつけの病院で買ってあげてくださいね。

でも、予防してくれるのが何より大事なので、なんでも良いのでちゃんとした予防薬で、忌避剤などではなく予防薬で予防してください!

 

もっと詳しくSFTSについて知りたい場合

NIID国立感染症研究所のホームページなどをご参考ください。

https://www.niid.go.jp/niid/ja/sfts/3143-sfts.html