いきなりまとめ、食欲不振・元気消失・嘔吐・下血、この中の一つでも一緒に起きている場合はすぐに病院へ行きましょう。

元気で食欲もあって下痢の場合、3日しても症状が改善していなければ病院へ行きましょう。

心配だったら病院へ行きましょう。

 

多分ペットと暮らしていて最も出会う可能性がある下痢のお話をしたいと思います。

便が水分量が多くなりつかめないほど柔らかくなったり、時には水のようになってしまう。

元気な子でもたまーになったり、自然と治ったり、ちょっと食欲は落ちるけど元気はあったり。

基本的には数日でもとに戻ることが多い、比較的よくある病気ですよね。

ところが、中には3日ぐらいしても硬いうんちにならない。軟便が水下痢になってだんだん悪くなっている。血が出てきた。粘膜みたいなのがくっついている。

と、強い症状になっていってしまうこともあります。

下痢の原因は多種多様です。

食べ物が悪い、合わない。環境が悪い、極端に寒いor熱い、不潔である。拾い食いした。ばい菌のせい、カビのせい寄生虫のせい原虫のせい。体質的な腸構造の問題。腫瘍の存在。

これら一つ一つの原因は問診と便検査、時には全身の検査によって見つけていきます。

ただ、少しお腹がゆるい子に、腸構造の変化や腫瘍の存在を最初から疑ってあらゆる検査を行うのもナンセンスなので、全身状況や、便検査、触診、聴診などと合わせて投薬治療を行ってから、その反応を確かめたりする治療も行います。

食事が原因である場合は食事を変更して相性の良い食事を探す作業が必要になるので、地味に時間がかかることもあります。

消化器症状用の処方食は有益なツールだと思っておりますが、やはりその子その子の相性があります。

このあたりは来院していただき、実際にその子を診ながら詳しくお話を受けたほうが良いと思います。

環境に関しては、そんなに悪い可能性のほうが現代社会では少ないですが、外で飼育していたり、食事の器の洗浄頻度であったり、地味に獣医師が聞きづらいことが隠れていたり、苦労したりします。

散歩中の拾い食いは地域によってはよく遭遇してしまいます。

当院のある妙典は、病院のそばに江戸川河川敷が広がっており絶好の散歩コースになっております。

しかし、バーベキュー場が存在しているせいで注意が必要です。

落ちて傷んだ食材があるかも知れません、犬にとって危険な玉ねぎなどが炒めて美味しい香りがついて落ちてるかも知れません。

肉汁がついた串が落ちているかも知れません。

そして、そういった散歩コースを狙う心無い人間による毒肉が置かれている可能性も考えないといけません、悲しい話ですが。

家の中でもゴミ箱を漁ってパクっと食べてしまったり、調理中に気が付かずにぽろりと落としている可能性もありです。

細菌性腸炎なんかは、健康な子に散発的に起きることもあります。

土いじりが好きな子は寄生虫とか原虫とかにも注意が必要です。

そして、犬種や年齢などによっては珍しい腸構造の変化を伴う病気もあります。

一般的に難病と言われる炎症性腸症なども複雑な要因が相まって発症している病気なので、治療が一生涯になったり複雑化する可能性があります。

ご高齢の動物の場合腫瘍性病変が下痢の原因の場合もあります。

目立つ塊を作るようなタイプだと発見が簡単な場合もあるのですが、腸粘膜内、人間ではスキルスがんと呼ばれるものに近い構造の場合発見が大変なことも多いです。

動物でも簡単にCT撮影が人間のように出来る環境があれば、もう少し早期発見を増やせるのでしょうが、現状ではCT設備の問題や不動化の問題が出てきますね。

 

よく出会う病気で、比較的軽いうちに治療を開始して、きちんと治療評価をすればそこまで怖くないけど、時々怖いですよ。

私しのまとめとしては以上となります。

早期発見早期治療、治療反応によってはしっかりとした検査を行う。基本を大事に診ていくことが大事です。

この記事が少しでも飼い主様とペットのために役立つことを祈ります。