ずいぶんと熱くなってきましたね。
夜寝ていると、ぷーーーーんと忌々しい音を立てて、勝手に人の血液を吸い上げて、まぁそこまでは許すけどなんで痒くなんないといけないんだよ! と絶賛嫌われ者の蚊が増えてきました。
つい最近、蚊は足の臭いに反応して集まってくるということをなんと高校生が発見して話題になっていましたね。
そんな蚊が媒介するのがフィラリアという寄生虫です。
フィラリアというのは主にワンちゃんに寄生する犬糸状虫という寄生虫のことで、猫にも感染します。
蚊が吸血すると、体内からフィラリアの子供であるミクロフィラリア(mf)がワンちゃんの中に侵入します。
血管に移動したmfは血流に乗りながら成長して、最終的には心臓に寄生します。
そして、簡単に言えば心臓病に近い症状を引き起こし、ひどい症状は肺動脈の狭窄や肺動脈弁の機能を阻害して急性心不全症状を起こすこともあります。
寄生している間にもmfを産み出すので体内でどんどん数を増やしていきます。
心臓にウニョウニョとした寄生虫がたくさんいる。ゾッとしますね。
安心してください。
この病気、きちんとした方法であればほぼ100%予防ができます。
なお、ネット上には感染を起こしても駆虫薬で殺せるから予防はしなくていい、と、専門家が見たらお前の心臓にフィラリア植え込んで駆虫薬使えば殺せるからいいよな? って黒い笑顔を見せたくなるような事を言っている人もいます。
ネットの情報の一部には、少し考えれば何を言ってるんだ君は・・・という情報もたくさんありますが、こういう間違った情報を自信満々で発信して、間違ってるよ? って指摘してくる人を大声で怒鳴りつけるような危ない人がたくさんいます。気をつけましょうね、ほんとに。
確かに駆虫薬による治療は存在します。
しかし、心臓、正確には肺動脈に寄生する成虫となったフィラリアを殺せばどうなるかわかりますよね?
死亡してはらりと落ちたフィラリアの体は、心臓からの血流に乗って肺に運ばれます。
肺は酸素交換の場ですから細かな血管がたくさんあって取り込んだ空気と触れ合う面積を増やす肺胞という構造になっています。
つまり、それら毛細血管に虫の死体が詰まる可能性があります。
位置が悪ければ肺に血液が回らなくなって・・・虚血性壊死を起こすかも知れません。
これは、防ぐことが出来ないです。
まぁ、発生率は高くはないですが、起きてしまった場合のリスクは、とても大きいです。
だいたい、ほぼ100%予防できる病気にわざわざかけてから治せばいいって考え方が理解できません。
話をもとに戻しましょう。
いろいろ病態に関する話などもしようと思えば出来るのですが、学者になりたいわけでもないでしょうからざっくりと話します。
私のブログのスタンスは大体それです。わかりやすく概要を理解してくれればそれで良いのです。
フィラリアの予防薬は蚊から侵入してきたmfを殺します。
毎月1度の投与で、体内にいるmfを殺してリセットする。
成長して心臓に規制できる状態になるまでに約3ヶ月かかるので、そのまえに毎月殺して感染を成立させないのが予防薬の役目となります。
ここで、じゃあ2ヶ月に一度でもいいんじゃ? って思う人が出ますよね。そこはフィラリアの個体差が存在していて、二ヶ月間で綺麗に成長してしまう可能性が否定出来ないので毎月行う。そういった理解をしていただけると助かります。
3ヶ月開いたら、念のために検査をしましょう。
万が一完成が成立していたら予防薬の投与が危険な可能性があります。
ちょうどいいので、なぜ事前に検査を行って予防薬の投与が必要なのかお話します。
それは、体内にmfが大量にいる状態で予防薬を投与すると危険だからです。
すでに感染していて、親虫がmfを大量に体内に産み出している状態で投与してしまうリスクを無くすための検査です。
蚊に刺されて侵入する程度のmfは予防薬で殲滅しても問題はありません。
そして、去年予防したから大丈夫じゃないか? という疑問にもお答えします。
予防薬・・・一番大事なことは、
予防シーズンの蚊が全ていなくなってから最終投薬をすること
これが何よりも大事です。
開始する時期よりも最後に投薬する時期が非常に重要です。
これが結構読めなくて、とくに川原があることと、生活排水などの影響で水温が高い、生活環境がエアコンなどで高温を維持することなどが影響してか、思わぬ時期に蚊が生存している事があるみたいです。
このあたりは11月か12月に蚊がいなくなると思うので、そのあたりを最終投与月としています。
ところが、最後を10月にして、ほとんど蚊を見かけなくなっていたけど発見していなかった蚊に刺されてしまい、翌年予防しようと思ったら感染している。
そんな運の悪い子が、うちの病院にかかられる子でもいるのです・・・
正直、びっくりしました。
聞いたことはありますが、出会うとは思いませんでした。こんな都市部で・・・
そういったイレギュラーな出来事を防ぐために通年予防をされている方も少なくないです。
沖縄だったら通年予防ですが、安心は得られますよね。
そんなわけで、長くなりましたが、フィラリア予防をしてください。というお話です。
予防薬は、ネットで買うのは論外としても、できればかかりつけで購入してあげてください。
その時にワンちゃんの健康チェックをしたり、かかりつけ医にいつものワンちゃんやネコちゃんの姿を見せていることで、いつもと違うという気付きを起こしやすい環境を作ることで、病気の早期発見を目指していきましょう。
サラッと言いましたが、ネコちゃんも是非フィラリア予防をしてあげてください。
実は、ネコちゃんにフィラリアが感染すると、駆虫などを行っても、寿命が改善しないという悲しいデータが存在します。
フィラリアにかかると、単純に寿命が短くなってしまうのです。
ある意味ワンちゃんより怖いですね。
犬糸状虫なので感染しにくいのですが、感染することもあります。
予防で防げるなら防いじゃいましょう!
素敵なペットライフを送るためにも、予防ができる病気は飼い主様が予防を実施して大切なペットを病気から守ってあげてください。