・・・このコンテンツ、真面目にやれば本が2,3冊書けてしまうほど広いタイトルです。

しかし、飼い主さんに知ってもらいたい点だけをまとめればそれなりに役に立つものになるかなと思って書かせていただきますね。

まず、皮膚が赤い時に類症鑑別、つまり考えられる病気を並べて、その他の情報で除外診断、この病気は違うなと外していく。基本的に病気を見る時はこの作業の繰り返しになります。

特に皮膚病は経過が急性に変化することも有れば、慢性的に、比較的ゆっくりと変化が起きる場合があってちょっと難しいんです。

外部寄生虫、ノミやダニが原因ならノミダニ予防をして落としてあげると早く回復します。

ところがニキビダニなどが原因だと、早く治る個体と、なかなか治らない個体がいたりします。

体質だったり皮膚の質だったり免疫状態だったり他の基礎疾患の有無だったり、非常に複雑なことを考えないといけません。

皮膚病をたかだか皮膚が赤くなった程度と考えると、思わぬ苦戦を強いられます。

 

皮膚の病気大きく分けてみますね。

1.感染症

2.外傷

3.免疫介在性

4.内分泌

5.腫瘍性

6.先天性

7.栄養性・その他

 

1.感染症

これはわかりやすいですね。

細菌、真菌、ウイルス、寄生虫等によって皮膚が障害を受けている状態です。

これなら原因となる物に対する例えば抗生剤や抗真菌薬を投与することで症状は改善する・・・と思いたいですが・・・そうはいきません。

皮膚の病変が深いところにあると長期投与が必要になったり、混合感染だったりすることもあります。

耐性菌の事も考えないといけません、大変です。

もちろん様々な検査をすべて行えば診断の精度を上げることは出来ますが、流石にすべての症状に全て検査をしていたら金がかかって仕方ありません。

初手で診断を絞って診断的治療をして反応を見ることも少なくありません。

焦らず、しっかりと経過を観察して、的確な検査をしながら治療していきましょう。

 

2.外傷

実は珍しいです。あんまりないですよね擦過傷や切り傷は見て判断します。

転んで打撲とかもありえますが、基本的には適切な処置を選びやすく、治りやすいですね。

 

3.免疫介在性

出ました。これ、聞き慣れた言葉だとアレルギー、アトピーですね。

はっきり言って免疫介在性とは? みたいな話は専門の獣医師に説明しても膨大になります。

基本的には皮膚に存在する物質に対して、自分の体の免疫が過剰に反応して様々な症状を引き起こす。とおぼえてください。

治療はその反応を起こす物質を減らす。もしくは免疫を抑える治療が主体になります。

免疫を抑える薬は基本的に副反応が強いものが多く、治療効果が出るまでに時間がかかることも多いです。

この病気、治療して治らないから別の病院とか、ドクターホッパーをしてまるで治らないということも多いです。

ぜひ、かかりつけの先生とよくお話し合いして根気よく治療計画を練ってやっていきましょう!

ネットの情報は嘘が多いですよ。気をつけてくださいね。

環境アレルギーや食物アレルギーや様々な可能性があります。安易に診断できません、根強くしっかりと治療していきましょう。

あと、基本的に治せる病気ではなく、コントロールして上手く付き合っていく病気です。

今後いろんな治療が出てきて完全な完治を目指せるようになる可能性もあるので、それまで獣医師と二人三脚で頑張っていきましょう!

対立したり情報に振り回されても飼い主さんもペットも幸せになりませんから。

 

4.内分泌

内分泌、あんまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、わかりやすく言えばホルモンの問題です。

ホルモン? 焼き肉? ってなる方もいますよね。

例えば男性ホルモン、女性ホルモン、成長ホルモンなどは聞いたことがありますよね、体の様々な現象をコントロールする化学物質だと思ってください。

それらのホルモンが過剰に分泌されていたり、逆に分泌量が少ないことで体全体に症状を起こすことがあります。

皮膚に症状を出すホルモンも存在します。

診断は基本的に症状に照らし合わせたホルモン計測が必要となります。

しかし、結構わかりにくいことも多いので、普通の治療反応が悪いと調べることも少なくないです。

検査がやや高額になりますが、非常に重要な情報の一つになります。

基本的には足りなければ足してあげて、過剰なら拮抗、邪魔する薬なんかを投与します。

性ホルモン反応性の病気の場合は避妊手術や去勢手術が皮膚病の治療になったりします。逆に手術後に起きた場合はホルモンを足してあげたりします。

 

5.腫瘍性

皮膚に症状を出す腫瘍も存在します。

有名なところでは肥満細胞腫、リンパ腫、扁平上皮癌、メラノーマなどなどがあります。

診断は針を指して細胞見たり、パンチ生検してみたり、外科的に取ったりして調べたり、場合によっては遺伝子検査になります。

やはり癌は全身状態に大きく影響を与えて深刻な状態になることもあります。

落ち着いてしっかりと今後のことを獣医師と話し合いましょう。

 

6.先天性

一部の犬種に見られる先天的な皮膚の異常から起こる皮膚病。

シーズー、フレンチブルドック、ミニチュアピンシャー、秋田犬、シュナウザー、ウエストハイランドホワイトテリア、柴犬などなどに存在しますね。

栄養的な補助で改善を狙ったり、スキンケアによって状態の改善を狙いますが、基本的に難治性です。

腰を据えた骨太の治療計画と病気への理解を獣医師と手を取り合って頑張っていきましょう!

 

7.栄養性、その他

上記に当てはまらないようなことが原因の皮膚疾患。

亜鉛反応性皮膚炎とか少し特殊な病気が多く、基本的には他の病気を除外していって最後の方に残ってくる病気が多く出会うことは少ないと思います。

それでも忘れること無く選択肢にちゃんと上げておかないといつまで経っても良くならない事がありますので注意しています。

 

長くなってしまいましたが、これでもホントに表層の話も出来てないくらいですね。

大事なのはきちんとプロセスを踏んで計画的に治療していくことで、途中で勝手に治療をやめたり、指示を守らなかったりするといつまでもさっぱりわからなくなって、そのうち耐性菌などを作り出してめちゃくちゃになったりします。比較的中長期治療になりますので獣医師とタッグを組んで皆で病気を治していきましょうね!

対立しても全く意味がないですし、忘れないでほしいのは獣医師だって動物に元気に健康になってほしいので、そのために一生懸命努力しています。

動物を不幸にしたくて獣医師をしている人間なんていないので、何の責任もなく適当なことをいう第三者(セカンドオピニオンなどは別)の言うことに振り回されないようにしてください。

ただ、治らないのに説明もなくずっと同じ治療をする、なんて状態に不満を持たれている場合は是非そのことを獣医師にお伝えして丁寧な説明を受けてください。

もしそこで怒り狂ったりして説明しないような獣医がもし存在したら、流石にそれは・・・モゴモゴ

 

素敵なペットとの生活を送っていきましょう!(ドンッ!)