私はシャンプーが好きです。
気持ちいいですよね。
人間のシャンプーは気持ちいですが、飼い主さんがやってみるとペットの場合だとなかなか大変ですよね・・・
そして、実はいろんな事を考えてシャンプーをしないと、動物の皮膚に対して良かれと思ってやったのに、逆にダメージを与えてしまったりするのです。
今回はそんなペットさんのシャンプーについて話していきたいと思います。
シャンプーの役目は何でしょうか?
端的に言えば2つになります。
1.体の表面の不要なもの、有害なものを取り除く。
2.皮膚の維持に不足しているものを補う。
ちょっとスキンケア的な話になりますが、この2点が正しいシャンプーを知る上で欠かすことの出来ない要件になります。
1.体の表面の不要なもの、有害なものを取り除く。
これは、古い角質、過剰な皮脂、ホコリや空気中に存在して降り注ぐ様々な物質などを体の表面から落としてあげるということですね。
ペットさんは原則的に全身汗をかいたりはしません。
脂腺と言われる場所から分泌される油によって体表を乾燥から防いでいます。
皮膚は外の世界と触れる最も大きな体の組織といえます。なので実は強力なバリア機関でもあるのです。
でも皮膚の弱い子やアレルギー・アトピーなどを持つ子はこのバリア機関が弱くなってしまい、いろいろな有害な反応が出てしまいます。
なので、定期的に皮膚に付着した様々な物質を洗い落としてあげることで、それらの有害な反応を抑えようと考えるのです。
でもよく考えてください。
弱い皮膚についたものを落とすためとはいえ、化学物質であるシャンプーをつけて、しかもガシガシとこすって落として大丈夫なの?
おっしゃる通り。実は大丈夫じゃないんです。
肌に優しいシャンプーなど最近流行っています。
でも、優しいおもちゃのバットでもフルスイングでぶん殴れば痛いですよね。
バットが裂けていれば切れるかも知れません。
優しければ大丈夫じゃないんです。
ほんとに優しいのか、そしてそれを本当に正しく使っているのか、そういった目線が必要なんです。
そして、優しくても効果がなければ意味がないんですよね。
肌にやさしいまるで水のようなシャンプー・・・でも汚れも水ぐらいしか落ちません。これじゃぁダメなんですよね。
出来る限り皮膚への刺激を抑えて、それでいてきちんと必要な能力を有しているシャンプー剤を使うことが大事になります。
そして、使い方です。
つまりシャンプーの洗い方。
普段どのように洗われていますか?
ペットさんを濡らして、手にシャンプー剤を取って塗りつけて優しくマッサージしながら泡立てていく。
残念。
それ、優しくないです・・・
シャンプーの原液を直接動物の皮膚につける方法は高濃度なシャンプーに含まれる化学物質を皮膚に暴露させています(わざと難しく言ってます)
正解は、シャンプー:お湯=1:10ぐらいを別の桶に入れて100円ショップとかでも構いませんので泡立て用のモシュモシュしたやつで泡立てて、その泡を優しくペットの皮膚に乗せてなじませるのです。
そして皮膚を極力こすらずに全体にシャンプーを行き渡らせます。そのまま皮膚全体になじませてシャンプーの効能がしっかりと効くように10分位優しくなじませていきます。
じつはウチの病院で行っているシャンプーはこういった事を気にしてやっております。
病院の中で行うシャンプーってどうしているのか知れることって少ないのでお話しておこうと思いまして書いてます。
そして、お湯の温度は30~34度くらいが本当はいいです。
皮膚の弱い子に人間が温かいって感じる温度のシャワーを使うとちょっと熱による問題が出たり、シャンプー後に痒くなったりします。
シャンプーを流すときも激しいシャワーをがーーっと当てないで手のひらなどを利用して優しくかけてあげます。
桶などを使ってお湯の中ですすぐのも良いかも知れません。だいたい落としたら桶のお湯を捨てて仕上げに流せばしっかりとシャンプー剤を皮膚から落とせます。
シャンプー剤はしっかりと体から落とし切ることが非常に重要になります。
まだまだ言いたいことたくさんあるし、こだわってやっていますが。
オタクの自分の趣味がたりのように早口で大量に話してしまいそうになるのでここでやめておきます。
2.皮膚の維持に不足しているものを補う。
シャンプーでしっかりと余計なものを落としたら、次は補います。何を補うか? 潤いです。
保湿のための処置をします。
保湿剤をお湯と混ぜた保湿湯船に浸かってもらって、小さな手桶でペットさんの背中に優しくかけてもらうってのがおすすめですね。
リンスやトリートメントはその内容によっては皮膚に不要なものを残して手触りを良くして匂いをつけるための処置になることがあるので、質のいいものを使っていただくか、使わなくていいと思います。
きちんとしたシャンプーと保湿を行った毛は驚くほどサラッサラで心地の良い触り心地と自然ないい香りになりますから。
皮膚の乾燥は最も避けるべき状態なので、適度な保湿は必須処置です。
洗い過ぎや乾燥時のドライヤーの高温による乾燥は皮膚への大きなダメージになります。
こすらずに押し付けるようにタオルドライを行って、冷風かもしくは自分の肌で感じながら絶対に熱くない風で乾燥をしてあげてください。
その後、再び皮膚の弱い子や病変があるのであれば追加で保湿も行っています。
当院でのシャンプーは、健康な子の場合だともう少しマッサージをしたり皮膚にアクションをしたりします。
一人ひとりの状態に合わせて一番いいと思われるシャンプーをしておりますので興味を持たれたらお問い合わせください。
病気の子の薬浴の場合はさらにいろいろと状態に合わせたテクニックで対応しています。
そして、めっちゃいいシャンプーや保湿剤を用いて、現状当院でできる最高にこだわったシャンプーをプレミアVETコースとしてご用意しています。
はっきり言って高いですが、シャンプーは安いと素材が悪く、高いものにもひどいものがありますが、本当に良いものは高いですし、きちんとした量を使って時間もかかるので、価値があることなので、どうしても安くは行なえません。
ご興味が有れば病院にお問い合わせください。
一日一件が限界ですので、予約はお早めに。
やっぱり皮膚のことを書くとまだまだいくらでも書きたくなりますね。
この記事が少しでも皆さんのお役に立てたら幸いです。
宜しくおねがいします。