シャンプー記事がありがたいことに好評なので、もっと書いちゃいます。
スキンケアについても書いていきます。
スキンケアが獣医療に盛んに言われるようになったのは実はココ最近です。
人間の方でもアトピーという言葉が一般的に知られるようになったのは結構最近のことなので、仕方がないことだと思います。
それこそ20年も前だと人間のシャンプーよりも安価なほぼ洗剤みたいなものでワンちゃんを洗って、リンスという名のよくわかんない匂いと毛がすべすべになる、それって皮膚に付着してますよね?ってもので当たり前のように洗っていましたからね。
ワンちゃんのアトピーやアレルギーの話は非常に複雑できちんと病気としての区別をつけて、その個体個体に合わせた治療をする必要があるので、じっくりとかかりつけの獣医師と飼い主さんタッグを組んで治療にあたっていく必要があるので、安易なコメントはしません。
世の中に蔓延る根強い反ステロイド病は、お互いの理解不足と、医師や獣医師の努力不足だと思っています。
必要な時は必要ですし、きちんと経過を見ながら頭を使って使用していけばとても有益な薬ですステロイドは。
話がそれました。
スキンケア的な観点から行くと出来る限り早くステロイドを使用せずに維持管理できる皮膚を作りましょう! ってことですから、仲良くやっていけるはずです。
スキンケアで大事な視点は2つあると思っています。
1.皮膚常在菌への理解
2.バリア機能への理解
【ここから院長のつぶやき】
私はブログであまり難しいことを書かないようにしています。
理由はいろいろありますが、本当に理解するのには幅広い専門的に学ぶ知識が必要なので、一点だけ複雑な病態の理解をして誤解を招いて、誤った情報で凝り固まった最近多いタイプの頭でっかちを作りたくないんです・・・
インターネットの発達のせいで世の中の様々な情報に誰でも触れられるようになりました。
そのせいで、ある数本の論文の出来事を絶対的な善のように振りかざして強い口調で他者を非難して自分の優位性を誇るようなサイトが増えています。
我々が学ぶのは確かに論文もベースにしてEBM(evidence-based medicine根拠に基づく治療)を行うようには意識していますが、たとえ論文ベースでも解剖学的な知識や生理学的知見などと説明がつかないような場合は自己の判断で導入には慎重になったりしないといけません。
特に皮膚科領域は・・・いや、全てそうですね、動物医療は個体差がとんでもなく大きいですよね。
ある薬を使って効くか効かないかを本当に確かめるためには、体も生活環境も何もかも同じ生体を大量に用意して比較するしか理論的にはありません。
そして、その結果が当てはまるのもまた、その同一の生体だけですよね。
実験で聞いた薬が、今目の前にいるワンちゃんに効くかどうかは、種類が違ったり、大きさが違ったり、普段の生活環境が違ったりしますから、同じ条件じゃないのでわからないですよね・・・
そんな事を言いだしたらありとあらゆる物がまったく使えないので、N数、実験する個体を増やして多様性をもたせることで全体に効くだろうと判断する。
それが薬の作り方なんですよね。論文を盲信しても、ペットは幸せになりません・・・でも、勉強は絶対に必要です。
要はデータを自分の頭を通して考えて日々の診療に落とし込めばいいと思っています。
何の責任もなく変な情報を広めることは無いように気をつけます!
【閑話休題】
すみません、めっちゃ話がそれました。
1.皮膚常在菌への理解
健康なワンちゃんでも皮膚には大量に多種にわたる細菌が生きて暮らしています。
無菌の動物なんていません。
そして、そのバランスが整っていることは動物にとって非常に有益です。
非常に攻撃性が強い細菌の繁殖を防いでくれたり、うまいこと共生しているのです。
これらの常在菌を根こそぎ死滅させるような治療をすると、悪い奴らに隙を見せることになります。
消毒系のシャンプーの過剰な使用は、もしかしたらそういった事を行っているかも知れません。
そもそも消毒系シャンプーは皮膚刺激性がお強いですからね。
もちろんちゃんと理解して適切に利用すればそこまで怖くありません。
でも、考えなしにダラダラと使っていくと、皮膚が静かにダメージを受けているかも知れませんよ。
効果をきちんと評価して適切に使う。これ、大事です。
2.バリア機能への理解
皮膚は非常に強力なバリア機能を有しています。
健康な子の皮膚は体表に何か触れたとしてもよほどじゃなければ体内へは影響を起こしません。
アレルギーやアトピーの動物さんはこのバリア機能が低下していることがあります。
なので、普通の子なら問題ない物質が体内へと影響を及ぼして過剰反応を示して皮膚が炎症を起こしたりします。
皮膚に存在する様々な構造とバリア機能を理解して、どうやって皮膚がダメージを受けることを理解して、入ってくる敵を理解する。
それがバリア機能の理解と言えるでしょう。
これは獣医師の仕事ですので頑張ります。
スキンケアは本来動物が持っているこれらの機能を適正に維持できる手伝いをすることです。
特に細菌の乱れを整えること、そしてバリア構造のための栄養を補助する、そして適切な保湿を行うことが大事になります。
外部寄生虫(ノミ・ダニ・ニキビダニ・疥癬など)みたいな薬でバチンとやらないと治らない病気にスキンケアするのは馬鹿なのでやめましょう(自分への戒め)
なんでも好きになって潜ると、ついつい他のことが見えなくなったり、他を下に見る行動に取りがちです。
どっちが優れてる、どっちが悪いって話ではなくて、常に広い視野と柔軟な思考でいいとこ取りをしましょう!
具体的なお話は出来るんですが、かかりつけの獣医師さんときちんと話し合っていただいたほうが良いのでこのくらいにします。
具体的な方法を書くとその方法が正義だと爆走してしまう方が少なからずいますからね・・・
その子その子によって適切な方法は異なります。ぜひワンちゃんと一緒に動物病院へお気軽にお尋ねください!
ここまでご覧いただきありがとうございました。