またも大きな題材ですが、以前に書いた血液検査と同じように私がどう考えて検査を行っているかと、超簡単な各検査のイメージをお伝えします。

 

まずはレントゲン、ですが、これ人間の医療でも触れる機会が多いのでおわかりの方も多いですよね。

X線という光線を利用して、物の密度の差を利用して白黒二色の濃淡を利用して見えない体の内部を知ることが出来る機械です。

得意なのは歯、骨、関節、呼吸器、循環器、大きな外見の変化を伴う疾患。ですかね。

一回の撮影で大きく全体を見ることが出来て、スクリーニング的な使い方がよくされます。

部位を絞ってから詳細な情報を得るために条件を整えて退位などや照射方向を工夫してピンポイントな使い方もできます。

当院ではDR(デジタルラジオグラフィ)を利用していますので撮影後画像がすぐに表示されるために、複数枚の撮影も迅速に行えますので患者への負担も飼い主様を待たせることも無く撮影が可能です。

画質もかなり向上してきて、拡大縮小回転などの画像処理も行えます。

利点としては非侵襲性、動物がなにか痛みなどを受けること無く情報を得られる(関節炎とかは少し痛いかもです・・・)

肺などの緊急疾患を即座に判断できる。

骨折などの形状などの評価が行える。

腹腔内腫瘤がどのくらいのものかを判断したり出来る。

バリウムや造影剤を使うことでさらにポイントを絞った検査や、時間軸を評価して病気の進行速度の評価に繋げられる。

やはり、現在の動物医療に置いては欠かすことが出来ない検査機器と言っていいと思います。

最大の問題源は、超高額な検査機器です。用意するには〇〇〇〇万円レベルのお金がかかります。

レントゲン撮影室も必要ですしね、レントゲンの上位はCTになりますが、今回は割愛します。CTは数億円設備投資必要で毎月数百万維持費がかかります。ははは。

MRIも割愛します。この2つは高度医療の世界に入っていきます。

 

超音波検査とはなんぞや?

文字通り超音波を利用して臓器の・・・水分量を白黒の陰影で映し出すことによって、軟部臓器の内部構造の評価が可能です。

軟部臓器とは、心臓、肝臓、腎臓のような臓器たちでレントゲンは外郭が見えますが、超音波は中も見れます。

苦手なのはある程度硬いもの、それと空気が弱点です。

骨は苦手です。でも関節の評価にも利用できます。

空気が苦手なので肺は苦手ですが、FAST(迅速簡易超音波検査法)という手技で肺炎や肺水腫を疑う所見もあるので個人的には非常に有効なツールだと思っています。

当院は診察室に置いて診療時にすぐに当てるのですが、しっかりと観察する場合はお預かりしてじっくり見ます。

あくまでも命に関わる大問題を迅速に見つけるためのFASTですので。

腹水や胸水は超音波ですぐに発見できます。これらは非常に危険な病気が隠れている可能性があるので注意が必要です。

腫瘍を発見することも多いですね。

異常な場合は子宮疾患や精巣疾患でも活躍します。

子宮蓄膿症は超音波と診察と血液検査で複合的に診断しますが、お腹に存在するべきでないものがあるという所見はかなり役に立ちます。

どんな画像診断装置も、それ一つで判断はしないで多角的に診ないと思わぬ見落としを起こします。

ただ異常な所見を発見するのではなく、定期的にデータを蓄積して時間軸を意識した変化をいち早く捉えることが真の意味での画像検査の価値であると思います。

 

地味ですが、超音波検査とかは手技、技術が必要なのと、何より検査機器が高額+持っているだけでランニングコストがかかるために検査系が高額になってきますが、理由はご理解いただけると幸いです。

こういった設備を持たずに予防をして回る獣医師もいるかも知れませんが、いざというときにはこういった設備が必要になります。

持っていなければ検査できませんからね、設備投資して少しでも早く物言えぬ動物の病気を発見するために獣医師は努力しております。

できれば予防はかかりつけのお医者さんでしっかりとやって、こういった設備に動物病院が投資できるようにしてあげてください。

 

それでは、今回のレントゲン、超音波のお話は以上となります。

最後まで読んでくださりありがとうございます。