人間の医療ではおなじみ、医療系ドラマでもとりあえず「CT、血ガス、生化っ!!」って感じですよね。
今回はCTとMRIのお話をします。
が、本当に上辺の話です。
CTとMRIは高度医療の範疇にまだ入っています。
CTに関しては少しづつ小型動物用の比較的安価で設備の小型化されたものが増えてきているので、今後導入する病院も増えるかも知れません。
ただ、精密な画像を抽出するためには設備の大型化は仕方がないと思います。
人の医療でもやっぱり高精度な画像は大型機によって行われていますから・・・
安くなったと言っても凄まじい値段です。そしてランニングコスト、可動しなくてもあるだけでかかってしまう固定費が大きいために、検査自体は高額になります。
さらにCTもMRIも動物では鎮静が必要になります。
非常に高機能のCTは鎮静無しでの撮影も試みられているようですが、原則は鎮静化で検査します。
当院はとてもそんな機械を置く場所はありませんので、将来的にも導入しません。
CTは簡単に言えば凄いレントゲンです。
2D,平面で描写するレントゲンを様々な方向からX線を当てることで立体的、3Dで体内の状態を探ることが出来ます。
これによって例えば腫瘍があった時に、どの臓器から出ているのか? どの位置に存在しているのか? 周りの組織とどういった関係になっているのか? 癒着は? 転移は? 浸潤は?
凄まじい情報量を得られます。
今まで試験開腹と呼ばれる開けて出たとこ勝負(もちろん事前の検査を丁寧に行ってかなりの精度で予想はできますが、一部はどうしようもないこともあります)だった手術を、正確に予測することが可能になります。
骨は苦手ですが、かなり正確に表面を描き出せるので、脊椎内、頭蓋骨内部などの本当に骨に囲まれている部位以外は、たくさんの情報が得られます。
レントゲンよりも詳細な情報が得られるために、乳腺腫瘍などで肺転移を探す時はレントゲンとは比べ物にならない精度で発見できます。
MRIは磁気を利用した画像診断装置です。
今、ラジエーションハウスというドラマがやっているので興味を持った方もいるかも知れません。
原作の漫画も大変面白いので、ぜひぜひ。
MRIは前述のCTの苦手な骨の内部などに強いです。
脊椎疾患、頭蓋内疾患などには強力な武器となります。
頭蓋内を探れる唯一の検査と言ってもいいかも知れないです。
CTよりもさらにお持ちの病院が減ってしまうかも知れませんね・・・
てんかん、後躯麻痺、水頭症、各種神経症状などの場合には強い味方となります。
脳外科などは限られた病院でしかアプローチが出来ませんので、さすがに町医者である当院は全てご紹介という形になります。
すみません。正直こんな程度の内容になります。
もし、こういった検査が必要な病気にペットさんがかかってしまった場合は、かかりつけ医とよく話し合って高度医療を受けるようになさってください。
人間に行うことは、たいてい動物でも出来るようになっています。
凄いですよねー・・・
それでは、短いですが。今回は以上になります。
お疲れ様でした。