今日は外耳に関するお話をしたいと思います。

常にバリバリと後ろ足で掻いているお耳。

毎日拭いているのに毎日出てくる真っ黒い耳垢。

耳がガサガサで赤く腫れている。

日常的に出会うことが多いお耳の病気。

しかも、治療してしばらくはいいんだけど・・・やめてしばらくすると再発する困ったやつです。

大きく分けると3つかなと思います。

 

1.細菌・寄生虫などによる感染

2.アレルギーによる反応

3・腫瘍などの存在

                          ・・・その他

 

1.細菌・寄生虫などによる感染

耳の中は湿度が高く体温によって温められており、熱帯の洞窟みたいな状態になっています。

さらに分泌物や排泄物(垢など)によって栄養もあります。

つまり細菌や外部寄生虫が過ごしやすい環境になりやすい作りなっています。

体の防御反応もありますが、バランスが崩れてしまうと一気に細菌とかにとって都合の良い環境に変わってしまいます。

これらが原因の場合は、的確に原因に対して効果のある薬剤を利用して、その後耳の穴の中の環境を整えるという治療になります。

そのための検査として耳の穴の細菌を培養したり、顕微鏡で見たりします。

お薬は軽度の場合であれば外用薬で治療したり、状況によっては飲み薬を併用します。

お耳の環境を整える手段はいろいろありますが、基本的には日常的に行い続けることになります。

少し良くなったから薬をやめてケアを辞めてしまうとすぐに再発します。

良くなってからもうしばらく薬で治療して、耳の環境を整える。そしてそれを維持していく。

ここまでやらないとなかなか治療がうまく行かなかったりします。

結構時間がかかりますので、しっかりと取り組みましょう。

 

2.アレルギーによる反応

環境の物質、食事、耳に住むある種の細菌に対するアレルギー反応によって外耳炎を起こすことがあります。

1番に比べると耳垢が少なめで、耳介や耳道がカサカサしていたり炎症で赤くなってたり腫れていたりすることが多いです。

1・2番が両方併発していることもありますから注意が必要なんですけどね。

このアレルギーはとても厄介で、なぜかというと治療方法が1番と逆なんですね。

感染症の場合は当然ですが免疫は高めてあげるといいです。

しかし、アレルギーは免疫反応を抑えないといけないのです。

もちろん原因物質を減らすために洗浄などは有効な場合もありますが、環境抗原、食事などを完全に除去することは難しいです・・・

最もよく使われるのはステロイドですね。

免疫抑制効果、消炎、かゆみを抑えるなどなど外耳炎の問題になる様々な症状を抑えてくれます。

もちろん使いすぎはアウトなので症状に合わせて適切に利用しなければいけません。

これはかかりつけの獣医師としっかりと外耳の状態と照らし合わせながら治療をしてあげてください。

 

3・腫瘍などの存在

稀なパターンとしては腫瘍が原因の外耳炎ですね。

一般的な検査治療で引っかかってこないのにどうにも様子がおかしい、治らない・・・

そんな場合は稀な疾患を疑わなければいけません。

腫瘍などがボコッと盛り上がっていればはじめから疑えますが、まるで皮膚病のように見える悪い腫瘍もあります。

まずは一般的な治療から入って、その治療反応を評価してきちっと次のステップに移っていくってのが大事ですね。

いつまでも効かない、良くならない治療をダラダラ続けてしまうことが一番よろしくないと考えています。

だからといって耳がかゆいって動物病院にいったら全身全てを徹底的に調べるっていうのもバランスが取れていないと思うので、少しステップを踏んで治療を行っていくことは必要じゃないかなと思います。

 

日常的なケアは非常に大事です。

飼い主さんに必ず守ってほしいことが3つあります。

1.耳に使える洗浄液を必ず使うこと

2.耳は粘膜なのでとっても優しく耳掃除を行うこと

3.耳の奥に汚れを押し込むような方法や、構造を理解していないのに耳の奥をいじるような掃除をしないこと

 

です。病院の先生やスタッフに一度聞いてみるのが一番確かです。

ある程度の大きさ以上なら優しく洗浄液を耳に入れてマッサージする方法もおすすめなのですが、そこらへんも相談してみてください。

 

なんにせよ、動物の治療は飼い主さん獣医師、そしてスタッフ皆がチームとなって戦うべきです。

皆で力を合わせて病気と戦っていきましょう!