お盆前、とんでもない暑さの中を犬が散歩しているのをみて朝からげんなりしております・・・
ほんとうに情報を広めるというのは大変だなぁと感じております。
今日は、病気は簡単には治らないというお話です。
一部の飼い主様の中には、動物病院につれていけば、一瞬で病気の原因がわかって、なにか薬をもらって一瞬で治してもらえる。
そしてそれが当たり前だという考えを持つ方がいらっしゃいます。
嘘でしょ、そんなわけ無いじゃん自分が病気になってそんなに簡単に治らないよ?
そもそも話せないんだから病気の原因だってすぐにわからないんじゃない?
怪我したのすぐに治らなかったよ? ネタでしょ?
と思われた方、本当にありがとうございます。
本当にいらっしゃいます。極稀に、ですけどね。
病気はそんなに簡単じゃないんですよ・・・
そして動物は話せないのです。
問診を取れなければ飼い主様からの情報以外に、日常の生活環境や起こった出来事を知るすべは限られるのです・・・
基本的に動物の診察は、
1.触診
2.聴診
3.視診・観察
4.血液検査
5.超音波検査
6.レントゲン検査
7.各種特殊検査
こんな感じで行っていきます。自分の場合は。
1・2・3は並行して行っていきます。
鼻先からお尻に向かって毎回同じ順番にルーティーンを作って診ていっています。
たとえ一部の疾患であってもまずは全体を確認していきます。
もちろん足から出血していたりとか緊急性が有れば処置を優先します。臨機応変に高度な柔軟性を持って行動します。
そして同時に飼い主様への問診も行っていきます。
丁度いいので飼い主様にお願いがあります。
隠し事と嘘はお願いですから止めましょう。
内容次第ですが、私はめったに怒りませんから。
言いにくいこともあるかもしれませんが、ここで躓くと全てが駄目になることもあります。
ぐっとこらえて全てを話してください。
同業者にもお願いしたい。どうでもいいことで飼い主を怒鳴りつけたり叱りつけたりしないでください。
貴方の行動で飼い主様が萎縮して獣医師は怖いものだと言う先入観を覚えます。
動物への愛ゆえだとは思いますが、自分の感情をコントロールすることは社会人として最低限なマナーです。
相手に話す時は相手のことを思って言葉を選んでください。お願いします。
もちろん、虐待などに対して適切な言葉と態度で一切改めないような人間には相応の態度をとってもいいと思いますが、最初から威圧的、高圧的な態度は人間として恥ずかしいですから止めましょう。
へりくだれとも言っていません。常識的な社会人としての対応を心がけて癇癪を起こさないでくださいとお願いしているだけです。
話を診療内容にもどしますが、ここまでで獣医師は一度頭の中を整理させていきます。
動物の状態、飼い主様のお話からある程度の推測を立てて、緊急性が合ってより詳しい検査を必要とするのか? それとも投薬治療で一度反応を見てもいいのか?
検査が必要となった場合は血液を採取したり超音波を当てたりレントゲンを撮ったり、もしくは高度な医療センターへ紹介したりしていきます。
投薬での治療で行けると判断すれば診察費用と投薬の費用で終わりますが、血液検査等の検査になった場合は病態がある程度以上に深刻であるか、慢性疾患で今後長い期間治療が必要になる可能性などがあります。
各種検査を出来る限り適切に、それでいて取りこぼしがないように構成するのは獣医師の大切な仕事になります。
ただ、基本的には各種検査が必要になる場合で検査項目を減らすとろくなことにならないです。
長い目で見ればきちんと一度しっかり見るほうが最終的な費用を抑えることになるので、一番最初の検査費用は高額になることが多いです。
そうならないためにも病気は早く見つけて状態が悪化する前に動物病院に見せるのがおすすめです。
定期的な健康診断によって症状を起こす前に発見したり、かかりつけの先生のところで予防を行うことで健康な状態を把握してもらったり、小さな変化に気がついてもらうことが、結局小銭を安くするためにネットなどで予防するよりもペット自身の健康を支えることになります。
そして病気が見つかったら治療になります。
病気になってからの時間がながければ長いほど体へのダメージは大きく蓄積されていて治療が大変になっていきます。
それこそ一週間くらい食事を食べていないで限界が来ているようなこの回復には一週間くらい、いやもっとかかるかもしれません。
最近だと夏バテで一日くらいちょっと食べない、食が細いなんてことはありますが、3日続いたらもう診てもらったほうがいいでしょうね。
すっごく元気と食欲がある単発の下痢や嘔吐は3日くらい様子を見てもいいかもしれませんが、複数回症状が続いたり、元気や食欲がなくなった場合は病院へ行きましょう。
病気の内容によっても治療反応は変わります。
慢性疾患は一般的に治療反応が緩やかで、なんとか日常生活を投薬などで維持できるようにしてお返しすることを目的としています。
急性疾患で消耗性疾患の場合も体調の回復に時間がかかることがありますね・・・
書いていて思いましたが、こうだったらこうなる。って言える病気って驚くほど少ないですね。
本当に答えのない問題が毎日毎日訪れる、動物病院はそんな場所です。
飼い主さん、動物、獣医師、看護師みんなで一緒になって病気や怪我と戦っていきましょう。
繰り返し言っていますが、我々動物病院で働く人間は飼い主様の敵では有りません。
どうぶつを治療することを一生の仕事に選んだ仲間だと思って、手を取り合って治療を勧めていきましょう!
病気は簡単には治りませんが、皆で力を合わせて戦えば、バラバラに戦うよりも良い結果が待っていると信じています。