獣医療業界、動物病院業界というものは非常に狭い世界です。
獣医師になることができる獣医学科のある大学は、国立大学法人10・公立大学法人1・私立6の17大学しか無いんですよね。
毎年1000人に満たない程度しか獣医師になりません。
さらに小動物臨床と言われる町の動物のお医者さんの道を選ぶ人は、悲しいかな減っているそうです……
と、言うわけでこの業界、とっても狭いんです。
病気や怪我で苦しんでいる動物を救いたい。予防できる病気をしっかりと予防して健康に暮らす動物を増やしたい。
そういった志を持った仲間たちの集まりなので、結構知り合いで繋がることも多いです。
数年で病院を移ることも多いので色んなとこでそのつながりが増えていったりします。
同じ志を持った仲間がいるということは日常の仕事の励みになります。
と、言うわけで。動物病院の使い分けについてのお話です。
どんな訳だよって話ですが。
前提として私は病院の使い分けを否定はしません。選択権は飼い主様にありますから。
ただ、思うことはあります。
予防は安いこの病院、病気になったらこの病院。多いのはこのパターンかと思います。
仕方ないですよね、安いことは大事だと思います。
しかし、以前から言っていますが、あなたが行っている予防薬の投与やワクチンの摂取は、絶好のチャンスです。
健康な時の動物の状態を、かかりつけに知ってもらう。というチャンスなんです。
そして、そういった予防をしっかりとかかりつけで行えば、かかりつけはそれらの収入から、人を増やしたり設備を整えたりします。
健康な状態を常に把握してデータを蓄積した病院で治療してもらうのと、病気になったときだけ治療を行うのと、どっちが有利ですかね?
ネットで予防薬は論外ですが、論じる気にもならないのほうが正解かもしれませんが・・・
いざという時に、かかりつけでいつも診てもらっているというのは、想像以上にメリットが多いです。
かかりつけを大事に育てていただけると一獣医師として幸せです。
もちろん、高度な治療をする二次施設はまた別の話です。
人間のお医者さんだと複雑な病気は、当たり前のように大きな病院へ行くのに、動物病院はなぜか何でもできると思われがちですよね。
この間もサラッとMRI撮れないんですか? って驚かれましたが、CTやMRIって数千万とか億とかの購入費で、維持費で毎月うん百万持っているだけでかかったりすることをもっと広めたいです。
ほんとに凄いですよねそういった設備を持って維持している病院は。尊敬と感謝しか有りません。
もちろん小さな病院でも中では驚くほど凄いことをやられているスーパーマンみたいな獣医師もいます。かっこいいです。
私個人としての考えでは、出来ないことはきちんと出来ないとお伝えすることが誠実公平であると考えています。
正直、年に1例来るか来ないかという症例の腕をあげるのは不可能です。
きちんと診断できる座学勉強は大切ですが、特殊な病気は大きな病院に集めて、そこでスキルを伸ばしてもらう。
地域全体の動物医療という考え方としては、そのほうが動物や飼い主さんにとって良いことではないか?
という考えでやっています。知識は大事です。やらないとやれないは天と地ほどの差がありますからね。
こういったぶっちゃけた話ってほんとに聞けないと思うんですよね。獣医師だってこんな話飼い主様にしませんからね。
でも僕はしちゃうんです。全部お伝えしちゃったほうが気が楽なんで。
世の中は一方的なお客様と店という形がどんどん壊れています。
たとえばメルカリ、あれ、お客様とお客様どうしのやり取りになってますよね。
今は店と客じゃなくて、人間と人間で繋がり合っていく社会になっていっています。
もっとお互い様の精神でお互いを尊重しあって認めあう承認の社会になっていけば素敵だなって考えています。
獣医師や看護師、いや、全ての働いている人間だって、中身は普通にあなたと同じ人間なんです。
そんな当たり前のことが、忘れられてしまっている。そう感じるニュースや事件をよく耳にしてしまいます。
今はお客としてお店を利用していますが、立場が変われば自分が働いている顧客だったりする可能性もあるわけです。
お互い様なんだ、あなたも人間なんですね。そう考えている人って素敵だと思います。
相手を認めて尊重する。そして相手も自分を認めて尊重してくれる。そんな社会になってほしいです。
その第一歩はまず自分から、一人一人の自分が行動することだと思います。
なぜかまとめがいつもスピリチュアルというかお花が咲いているような話になりがちですね。
そりゃ同級生に心配されますわ。
承認の社会、本当に現実になると信じて行動してますけどね。
そして私は獣医師としてずっと伝え続けたいことがあります。
獣医師は飼い主様の敵じゃない。
ブログを通して、仕事を通して、人生を通してそれを伝え続けていきたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございます。