「皮膚炎が有るから毎日シャンプーしよう」
「皮膚炎が有るから消毒系のシャンプーでいっぱい洗おう」
「とりあえず毎週ノルバサンシャンプー、マラセブシャンプーで洗ってます」
そんな人、いませんか?
それ、皮膚のバリアをぶっ壊してますよ・・・
さて、慣れないスタートをしてみましたが、今回のブログは皮膚についての話です。
自分の興味が有ることだと早口になって必死になって話すタイプの人間、いっぺーです。
前述したシャンプーの使い方、もしかしたら皮膚にとってよくないことをしてしまってるかも知れません。
もちろん、その治療で症状がどんどん良くなっているならあっているのかも知れません。
シャンプーのやり方でも皮膚に対するダメージは変わりますから、正しいやり方なら悪影響を最小限にできるかも知れません。
それでも、例えばノルバサンシャンプーやマラセブシャンプー(特にこっち)を日常的に使うことは私はおすすめしません。
消毒薬は、皮膚に対する刺激も強すぎるからです。
特にマラセブシャンプーは月に一度以上使うことを私はおすすめしていません。
初期に病原を叩くのにはとても有益な武器ではあります。
ただ、その強すぎる攻撃力ゆえ、何度も使うと皮膚自体もダメージを受けてしまいます。
皮膚病治療は最初にガツンと叩いて、それからコントロールに持っていくことが大事なので、初期にバシッと用いて、それからは皮膚を守る方向に舵を切りましょう。
ただね、例外はあります。
めっちゃ頑固な膿皮症、基礎疾患も治療してもなっかなかコントロールがつかなくて、マラセブで定期的に洗うと匂いも赤みも収まる。そんな症例もあります。
もうこれは、すべて一症例一症例よーく観察、治療、観察としながらオーダーメイドのやり方をするしか無いので、絶対的な正解は残念ながらありません。そこはご了承ください。
動物領域でもスキンケアの重要性が特にここ数年で盛んに言われるようになりました。
人間のスキンケアもここ数年で潤い、潤い、保湿、保湿盛んに言われるようになったと感じている人も多いと思います。
皮膚にとって乾燥というものがとても悪い影響を与えることがわかってきたからです。
体感的には昔からそうだろうなぁ、とは思っていたと思いますが、被毛に包まれた動物の保湿って、難しかったんですよね。
「動物の保湿にお金をかけるの!?」
みたいな飼い主様の意識の変化も大きいです。
犬は外飼で、皮膚炎でぼろっぼろの柴犬が軒先に繋がれている。そんな光景が十数年前には当たり前のようにあった気がします。
飼い主様の意識の向上は、動物医療業界を大きく底上げしてくれました。
人間にとってもそして、動物にとっても素晴らしいことだと思います。
閑話休題。
皮膚にトラブルを抱えている動物の皮膚は皮膚バリアが正常に働けなくなっています。
この皮膚バリア、本来持つ能力を回復させてあげるのがスキンケア。保湿と栄養による支持治療になります。
しかし、根底に体質的な皮膚バリアが弱い子がいます。
フレンチブル、シーズー、柴犬などに多い角化不全やアレルギーがそれに当たります。
いろいろな方法で皮膚バリアの回復を狙っていきます。
皮膚常在菌と呼ばれる正常な皮膚に存在する細菌バランスを回復させるように努めたり、
腸内の細菌バランスを整えたり、
足りない栄養素を補ったり、
食事を変更してアレルギーを避けたり、
本当に多種多様なアプローチがあり、症例によって異なるアプローチを必要とします。
丁寧に診察をして、治療をして反応をみて、世界に一つだけの治療法をしないと回復しないような難しい子もいます。
基本的に皮膚病は少し時間がかかりますし、治らないこともあります。
相性の良い獣医師と、どっしりと腰を据えて治療するようにしてあげてください。
皮膚病、奥が深いんです。
もちろん基本的な病気をきちんと除外していくのが王道です。
ぜひ、合う獣医師を見つけてください。
ではまた!