相変わらずテレビではコロナ一色といった感じですね。
その中で、日常的な動物病院診療でも感じる問題点が発生していて、そこに対する思いを今日はブログで書いてみたいと思います。
タイトルでも有るのですが、立場、というか置かれている環境の違いなどから来るすれ違い。
すれ違いというのは相互理解の齟齬、お互いの思いや考えが、まったくもって噛み合わないような状態です。
私は動物病院で獣医師として働いています。
獣医師は、獣医師になるための大学で6年間学び、国家試験を受けて合格することによって、獣医師国家資格というものを取ることによって名乗ることが出来ます。
動物病院で働く小動物臨床と呼ばれるところで働く獣医師、それ以外にも食品衛生や各地での公衆衛生、畜産など幅広い分野で仲間たちが頑張っています。
仕事を始めれば、毎日症例に触れて、そして勉強の日々です。
新しい情報を得る商業誌、月刊誌、季刊誌、書籍となった専門書、数万する本を何冊も何冊も読みます。
もちろん日々の診療でその学んだことを生かしてアウトプットします。
そんな日々を毎日行っているから、獣医師は動物の診療において専門家を名乗らせてもらっているし、免許をもたせてもらっています。
学会や勉強会に仕事以外の時間を使って参加して、技術的なことも学んで実践して、その繰り返しの日々の中で動物診療の知識と技術をためていき、
それを元に患者の状態を把握して病気の話や必要な処置検査のお話を飼い主様にお話をします。
少し嫌な言い方をすれば、そもそもの立っている位置が違いすぎます。
獣医師同士の話でもなければ、複雑な病態や、検査、薬のしくみや動態まで話してもご理解は難しいと思います。
そして、そういった『授業』をしている時間は正直ございません。
出来る限りわかり易い言葉で、全体的な像を理解していただければ良いのです。
もちろん、ご自身で勉強をなされて、更に深くご理解しようという姿には尊敬を覚えます。
しかし、素人が、なんとなくで我々の話に「違う」と言うのは違うんです。
感覚的に理解できないことを、「嘘だ」と論じるのは駄目なんです。
ほとんどの飼い主様は、きちんと話を受け止めて理解して協力して患者を治すお手伝いをしてくださいます。
ごく一部の話をこれだけ大々的に話すのはフェアではないかも知れませんが、
このごく一部が残す爪痕傷跡は獣医師にとって大きいんですよね。
状況をわかりもしない第三者の素人の意見で、いきなり対立してくる飼い主様。
こちらに言葉が足らないなどの否がある場合もあるかもしれませんが、いきなり喧嘩腰で否定しないでください。
一時的に頭に血が上ってしまうのは理解できますが、その後、そのどこの誰とも知らない素人の意見を、きちんと積み上げた知見で説明して否定したときに、激高しないでください、何の意味もありません。
患者の状態も何も知らない素人の意見なんて、的はずれなことのほうが多いのですから・・・
ましてや、ネットの知識なんて、貴方の患者さんに当てはまらないことのほうがほとんどです。
それに、もしその意見が正しければ、獣医師はきちんと受け入れて分析して方向を正します。
感情的に突っぱねたりはしません。
論理的に考えて、間違っているときしか否定しません。
どっかの誰かが効いた、症例数1の水素水では100症例やったら効かないほうが多いんです。
気功、波動、漢方、祈り、石、いろいろあるかも知れませんが、
どうにかして獣医師を悪者にしたい人々の諫言があるかも知れませんが、
簡単に鵜呑みにしないでください。
獣医師の言葉はなかなか鵜呑みにしてくれないのに、なぜそういったたぐいの言葉は簡単に鵜呑みにするのか、理由は実はあるんです。
人は、自分が信じたいことを信じる生き物だからです。
実際の事実がどうだろうが関係ないんです、自分が思っている信じたい事を事実だと思いたがるからです。
そして、自分にとって信じたくないことを告げてくる獣医師を敵にしたいんです。
どうか、獣医師を敵に思わないでください。
獣医師は患者を治したいんです。
治さないことに何のメリットもありません。
一生懸命、必死に患者さんを治したいと思って仕事をしています。
どうか、その何よりも根底であり、全てであることを忘れないでください。
獣医師は動物を治したいし、
健康で楽しく暮らしてほしいし、
飼い主さんにペット共に幸せに生きてほしいんです。
ほとんどの人には関係のない話なんですけどね。
ごく一部の場合に傷つけられて獣医師という生き方を辞める人だっています。
そして、今の世の中は獣医師と飼い主の対立を煽って自分の商品を売りつける、人間でも同じようなことが増えています。
そういう輩は自分の製品を売るためなら平気で獣医師や医師を蔑み、結果として患者が不幸になろうが関係ありません。
そういう悪意は残念ながら増えています。
どうか、どうか騙されないでください。
今、病気に対する最も有効な手段は、標準治療です。
きちんと標準治療を学んでいる獣医師、医師と信頼関係を作ってください。
私からの、心からのお願いです。
これからも、皆様とペットに素晴らしい時間がいつまでも降り注ぐことを祈っております。
ではまた!