定期的な健康チェックで動物病院に通って、獣医さんにこう言われます。

 

「ああ、少し心臓の音に雑音が混じってますねー・・・

 ワンちゃんも10歳かぁ、じゃあ聞こえても仕方ないねぇ」

 

こんな感じで、とくにうちの子に病気があるとは思っていない時に言われることもあります。

もちろん、

最近どうも元気がない気がする。

なんか乾いた咳をする。

症状があって発見されることももちろんあります。

 

今回お話するのは心雑音、特に多い僧帽弁閉鎖不全症についてお話します。

うちのスタッフが作ってくれた僧帽弁閉鎖不全症の説明用のツールから画像をいただきました。

いろんな冊子も使って出来る限りわかりやすく説明するよう診察では気をつけていますので、

(ブログの存在価値が無くなりますが、かかりつけの病院でお話聞くのが一番です)

心臓の中にあるそれぞれの部屋を分けて、全身に送り出す血液が逆流しないように存在するのがです。

逆流防止弁を支えている腱索が伸びてしまったり、切れてしまったり、または弁自体が分厚くなったり、色んな理由で逆流が起きることで、いろいろと不具合が起きてしまう状態。

それが弁膜症という状態です。

全身に送り出す血液が少なくなり、

血液の流れが滞ってうっ滞してしまう。

基本的にはこの2点が全身への悪影響を引き起こします。

そして、全身に血液が足りないから、心臓はもっと頑張ります。

もっと頑張ると、逆流が更に増えます。

じゃあもっと頑張らないと・・・

と、身体は悪い心臓にどんどん無理をさせてしまいます。

そして、この病気で怖いのは、頑張れるところまでは、頑張れてしまうところなんです。

頑張れなくなってから症状が出ます・・・

 

つまり、症状が出ている状態は病気が進行している状態ということになります。

 

動物は本来野生で生活をするせいもあって、自分自身が弱っていることを周りに知られることは危険に直結します。

その本能のせいか、動物は病気を上手に隠してまるで健康かのように振る舞ってしまいます。

困っちゃいますね。

 

なので、もし、症状が現れているなら、出来る限り早く治療を開始したほうがいいです。

症状がない時点で病気が発見できたら、出来る限り早く治療を開始したほうがいいです。

 

心臓は毎日毎日休むこと無く動き続けます。

そして、この弁膜症の治療・・・残念ながらゴールはありません。

治療を開始したら、止めること無く、寿命をまっとうする日まで治療を続ける必要があります。

症状によって薬の種類や量は変化しますが、もっとも重要な薬は飲み続けることになります。

途中で勝手に薬をやめると、症状を悪化させてしまう可能性もあります。

私はこの話をきちっとして、2回、薬を自己判断でおやめになられた飼い主様には二度と薬を出さないと決めています。

もちろんうっかり抜けることに目くじらは立てません。

 

あくまでも治療は現在の心臓の状態で、少しでも楽に心臓が働ける環境を作ってあげるという治療になります。

例外的に弁自体に外科手術でアプローチすれば「回復」させることも出来ます。

特殊な専門施設で専門の先生でなければ不可能なので、積極的な回復を望む場合にはかかりつけの先生と相談して紹介してもらうようにしましょう。

 

すでに構造が変わってしまっている心臓、その心臓でも楽に働き続けてもらえるようにお薬で整えてあげる。

そして、その心臓を出来る限り長く、そして全身状態もいい状態で維持していくことが目的、ゴールになります。

 

もちろん一人ひとり状況が異なるので、しっかりとかかりつけの病院で診てもらって、相談してもらいましょう。

 

ではまた!