獣医師は勤務医であれば、動物の治療についてだけ考えればOKです。
飼い主様の幸せと動物の幸せに全ての力を注げばOKです。
院長になると違います。
院長は、獣医師であり、経営者です。
動物を癒やすことだけではなく、組織としての動物病院の存続と、チームとしてのスタッフの生活を満たしてあげなければいけません。
本当に、難しいですよね。
時代は変わって、それこそ動物のために働いているスタッフが奉仕の気持ちで長時間、重労働、低賃金を我慢していた頃とは変わっています。
スタッフ一人ひとりが、一人の人間として、充実した人生を生きていける、そして、動物も癒やす。
その両立こそが、これからの経営者に求められる能力です。
きつくない?
スタッフの充実のためには、どうしても避けて通れないのが給与や労働条件、
一人の労働条件を軽くするためには、人数を増やさなければいけない、
増やせば増やしただけ人件費ががががが・・・
お金お金って言っても、その費用を払ってくださっているのは飼い主様なわけです。
価格は提供しているものの価値ですから、その価値以上の金額をいただくわけにいきません。
動物の治療に関しても、新しい知見を得るために本を買ったり勉強会に参加したり、
手術の道具を買ったり、検査の機械を買ったり、壊れた機材を直したり・・・
もう、いやーーーーー!! って叫びたくなります。
ただただ目の前の動物の治療だけを考えて生きられたらどんなに素晴らしいか・・・
昔は開業が獣医師の目的であり、夢でした。
しかし、今は専門性のある力をつけて、複数の病院で専門医として勤務するスタイルが人気です。
もう、時代が変わって、院長になっても、全く得しないってことに、気がついてきたんでしょうね・・・
世間に溢れている獣医師は儲かっているという幻想は、一体どこから出てきたんだろう?
私は不思議でなりません。
私の出会う獣医師の、労働量、勉強量、責任を考えて、儲かってるなんて言える人に有ったことないです・・・
週休は1日以下、その休みも頻繁に勉強会や学会に消え、
家族の時間も取れず、夜の診療や入院治療、手術も散見され、
日々変わる医療の情報に耳を傾け目を向けて、学び続ける。
命を扱うために一つひとつの仕事の責任は重大。
一日として同じ対応はなく、一つ一つの症例としっかりと向き合い続けて、くったくた・・・
ほとんどの獣医師の日常はこんな感じです。
さらに院長になれば、支払いの悩み、人事の悩み、未来への不安・・・
そりゃ、院長にならないよ・・・
でも、地域の動物病院が無くなれば、困るのは飼い主様。
全ての動物病院が専門性を謳った大規模病院になってしまえば、飼い主様の費用負担は倍増は間違いないです・・・
町の普通の動物のお医者さん、その存在は、きっと飼い主様の助けになる。
その思いが、私に仕事を続けさせています。
日曜休みにしたいなぁ……って、家族を持つようになってから強く思います。
基本的に世の中には日曜日と祝日が休みな動物病院が多いです。
結果として勉強会や学会も日曜を中心に企画されます。
子どもたちのイベントも日曜が中心です。
日曜休みたいです。
でも、家のようなベッドタウン、飼い主の皆様も休みは日曜日、つまり、日曜なら動物病院に連れて行きやすいんです・・・
当院も15年以上になってきましたが、
土日の需要の高さは、もう身にしみまくっているので、頑張れるところまではがんばります!
悩んで立ち止まっているのは無駄ですが、悩みながら進んでいきたいと思います!
これからもよろしくお願いいたします!
ではまた!