昔から言われている、下痢の時は絶食させたほうが良い。と言う話。

弱っている腸に負担がかからないように、食事を抜くことで回復を早めるという考え方だと思います。

下痢の原因にもよると思いますが、基本的には悪くない考え方だと思います。

ただ、いちおうエビデンス、根拠ベースで行くと、

絶食よりも、消化に良い食事を取るほうが、腸内環境の改善は早いと言われています。

消化器に考慮した食事を無理のない範囲で食べさせたほうが、下痢は早く治ります。

下痢を起こすと水分が体内から出ていってしまうので、水を多く取りたがりますが、

あまり極端に水分を取ってしまうと、下痢が悪化しますので注意しましょう。

 

下痢の原因は様々ありますが、やはり日常的に一番出会うのは細菌性、腸内環境の悪化による下痢だと思います。

次に食事の急激な変化による腸内環境の悪化、その次が寄生虫・ウイルスみたいな外部からの影響ですかね?

そこからは稀になって腫瘍、異物、免疫関連性疾患って感じです。

まぁ、ここらへんを考えるのは獣医師の仕事なので、さらっと知っておいていただければいいと思います。

 

下痢の時に大事なのは、うんちです。

ぜひ、うんちは動物病院に持っていきましょう!

出たての写真も有り難いことがあります。

ペットシーツなどにした場合は、サランラップやジップロックに取りましょう。

水分が吸われすぎて状態の把握が出来ない事があります。

便検査からはいろんな事がしれます。

うんち、大事。

 

次は食事、そして、何か口に入れなかったかの情報です。

食べ物の変更はなかったか、おやつに何かあげなかったか、食べてはいけないものが無くなっていないかなどは凄くありがたい情報です。

 

環境変化も知りたいです。

空調を入れ始めた。

新しい動物を飼い始めた。

大規模な模様替えをした。

家にいる人が変わった。

子供が生まれた。

近くで工事が始まった。

河川敷で草刈りが行われた。

バルサン炊いた。

お隣さんがアロマをやっている。

芳香剤を変えた。

色んな所にヒントが隠されています。

私が、ネットにあふれている情報で一番怖いなって思っているのは、

こういった様々な環境の違いを無視して、分母を勝手に大きくして、こういう症状だったら、こういう原因。と断定して話しているところが多いという点です。

繰り返しますが、目の前の動物、その一体一体は違います。

犬種が同じでも、生活環境や餌、家庭環境など、様々な違いの有る別の生命です。

もちろん、標準治療というものは存在しますし、私自身もエビデンスベースの、科学的な根拠の有る治療を選択します。

しかし、あくまでその子は、その子です。

一般的な標準治療で反応が悪ければ、詳しく調べたり、やり方を変える必要があります。

だから、丁寧にお話を聞いたりします。

この事は、決して忘れてはいけないと思っています。

 

ですが、現実的な問題としては、はじめの治療は標準治療から入ることは当然です。

最も間違う可能性が低く、正解する可能性が高い治療を行う。

それで、多くの場合は回復します。

そこから漏れた時に、どういったアプローチをするのかが、医療の醍醐味でもあり魅力でもあります。

 

ネットの情報は、有る意味、雑です。

手間をかけることを放棄して、雑な結論をつけていることがほとんどです。

言ってしまえば、患者を見ていません。診ていませんではなく、見ていません。

そんな情報に振り回されないでくださいね。

かかりつけの獣医さんに、ぜひ貴方の家族をちゃんと診てもらってください。

 

ではまた!