儲かりません(断言)

 

~Fin.~

 

これで終わるわけにもいきませんね。

まず、人件費が高騰しがちです。

なぜか、

労働時間が長くなるからです。

最近、皆様も気がついていると思いますが、

基本的には動物病院は値上げしています。

なぜだと思いますか?

働き方改革です。

当たり前のことをちゃんと守りましょう。

働き方改革は、

労働者が働いたら働いた給与をちゃんと払いましょうという、

当たり前のことを守らない会社には、

大きな罰則が加わるようになりました。

これによって、

今まで低賃金重労働長時間労働であった動物看護師や、

勤務獣医師、

まぁ院長は経営者だから当たり前っていうか仕方ないんですけどね(ブツブツ・・・

動物病院に携わる人々の労働条件が、一気に改善しました。

給与が上がり、最低賃金を平気で下回っていたような状態が是正され、

労働時間が短くなりました。

もしくは、残業代などがしっかりと払われるようになりました。

・・・当たり前?

そうです。当たり前です。

しかし、その当たり前を行わないことで、動物病院は成り立っていたんです。

怖いですよね、軽くホラーです。

社会全体の経営者と労働者の関係性にも大きな変化が起きています。

今は、完全に、

労働者が強者です。

経営者は、労働者の方々に働いていただくために、頭を下げ、環境を作って、必死です。

40代くらいの、所謂氷河期世代の人間は、過去の昭和の労働条件で働いていた最後と言われています。

働かせてやっている。

勉強なんだから残業代なんてとんでもない。

休みだって病院に出てこい、夜間だって様子を見るのが当たり前だ。

こういった扱いを受けた人間も、多分少数ですがいた世代です。

 

氷河期世代、本当に厳しいんですよね。

バブル崩壊後、最も厳しい就職活動・・・

働きだしても、日本は未曾有の不景気、リーマンショック、

そして、歯を食いしばってようやく経営者になったら、

働き方改革だ、過去の労働条件は悪だった、お前らはしっかりと人道的な労働条件を守れ!

 

・・・愚痴は、いけません。

 

閑話休題。

そんなわけで、病院に占める人件費の負担が増大しました。

言いたくはないですが、過去の人々の尊い犠牲によって成り立っていた料金体系を維持することは不可能になりました。

 

次に医療機器の発展と、医療機器の価格です。

たとえばうちの病院にある普通に診察室に置いてある超音波の機械。

定価は700万くらいします。

意味分かんないですよね。

私もわかんないです。

そして、壊れると治すのに平気で100万とかかかります。

意味分かんないですよね。

医療機器って、高いんです。ものすごく。

そして、精密機械なので、壊れるんです。

でも、医療機器はどんどん発達していくんです。

最新の良いものを使うと、昔は見えなかった病巣が見えたりするんです・・・

そこで、選択肢は2つ、

お金がないから、今の機械を使い続けるか、

借金していい機械を入れて病気を見つけられる環境を作るのか・・・

小さな動物病院が、無理して機械を揃えると、必ず破綻します。

なぜかというと、検査料金が安いからです。

これは動物医療業界の悪い習慣なんですが、検査が全般的に非常に安いです。

1000万する機械で検査して、5000円とかなんです。

700万の機械で検査して3000円とかなんです。

適正な価格にしてしまうと、検査できる人が減ってしまい、病気が発見できずに不幸な動物が助からない、よし、皆が検査を受けやすい金額にしよう。

と、美談にしたいのですが、歴史的に見ると、こういった検査機器の発展はバブル期に急速に伸びています。

その時代は、お金は借り放題、景気もめっちゃ良いので、普通に商売をしていれば非常に利益を積みやすい時代だったのです・・・

あとは、分かりますね。

あんまり毒を吐くと、ろくなことにはならないのでこのくらいに・・・

 

そして現在、動物病院は二極化が進んでいます。

高度な設備を整えた病院と、一次診療に特化した病院です。

獣医師の専門化も進んでいます。

良いこともあります。

しかし、たぶん、極端に進んでしまうと、飼い主様は大変になると思います。

普通に飼育しているときは良いですが、いざ病気になるととんでもない費用がかかる、アメリカみたいな社会になってしまうかもしれません。

 

もちろん未来はわかりません。

わからない未来に不安になっても仕方ないですが、

可能性の一つとして考えておくのも大事です。

 

日本の人口は減少しています。

顧客は必ず減少します。

ペットは減ります。

動物病院も、きっと普通に潰れる時代になっていくでしょう。

もし、あなたが、かかりつけの動物病院が残って欲しい、病気の時にきちんとした設備でしっかりと見て欲しい、できれば安く。

そうお考えになるなら、予防やフードをかかりつけの動物病院でやってあげてください。

そういった日常の収入があるからこそ、設備投資や、人材の補充、診療費の安定が行えるのです。

利便性によって、気が付かないうちに自分の首を締めていることに気が付きましょう。

ネットで予防薬を売っている人は、あなたの大切なペットが病気になったときには何もしてくれませんよ?

そのネットで買った処方食が、本当にペットに必要なのかきちんと判断してくれません。

一度、考えてみてください。

 

ではまた!