連載という形でお話しています。

2話目ですが、

いきなり前提をひっくり返すようなことを言います。

 

専門家にはならなくてもいいけど、

無知でいいわけではないです。

 

必要最低限な知識は、

やっぱりペットを飼育する上で、

大事です。

日常生活で、ペットの健康を守るのは

飼い主様ですから。

どっからが専門家で、どこまでは必要なんだよ!

結局どっちなんだよ!

と、お怒りの声が聞こえます。

いやね、すっごく悩んでるんですが、

難しいんですよ・・・

病気のことを何も知らなくていい、

病気の説明を省きたいとか、

そういうわけじゃないんですよ。

病気の説明だって、

検査の説明だって、

薬の説明だって丁寧にお話します。

・・・よし、はっきり言っちゃおう。

エセ専門家になったような気にならないでください。

ってことを言いたいんです。

わかりやすく言えば、

テレビで偉そうに素人考えを、

大声で専門家にぶつけるコメンテーターみたいに、

ならないで欲しい・・・

そういう願いです。

 

ペットと暮らして幸せになれる基礎知識、

それを飼い主様にしっかりと理解してもらうことは、

非常に大事だと思います。

しかし、

プロとして理解するほどの、

深い知識を得ることは、

簡単ではないので、

そうそう理解は出来ないものなんだ。

という事実をご理解していただきたいです。

 

うん、わかりにくい。

私もそう思います。

 

病気の理解って、すごく難しいんです。

病気の理解のためにはまず健康な生体の理解が必要ですし、

そのためにはたくさんの学問を学ぶ必要があります。

生理学、解剖学、生化学、etc.

そりゃーもう、

6年間で基礎講義から応用、総論・各論、

まぁたくさんのことを学びました。

それでいて獣医師として小動物臨床の世界で働き出すと、

学ぶことが壁のようにうず高く存在していることに気がつくんです。

座学だけじゃありません。

実技、自らの体を動かして、頭を動かして、

考えて、動いて考えて、

そんな生活を何年もしてなお、

新しい学ぶことが山積みで、

むしろ基本的な知識が定着していくと、

学ぶことが増えていくんですよ。

そりゃーもう、

広大で深いんです、

学べば学ぶほどその広さと深さが見えてくる。

学問って何でもそうなんですが、

そういうものなんですよね。

 

前回、無知の知という言葉をお話しました。

これはギリシアの哲学者であるソクラテスが話したとされている理論で、

自らを知恵者と思う者よりも、自らを無知だと知る者の方が優れている。

自分は知らないことがあることを理解しているものこそが智者であると説いています。

これは、無知であることが良いという意味ではありません。

自分が無知であることを自覚して、

それを解決するために努力することが尊いと言っているのです。

 

飼い主様は、ペットの病気のことを四六時中考えているプロではありません。

それぞれの生活、仕事があり、その中でペットと楽しく暮らしています。

ペットの病気の専門家にはならなくても良いんです。

それは、獣医師を始めとしたプロに任せてもらって、

ペットが幸せに暮らせる知恵は少しづつ知ってもらいながら、

楽しくペットとの時間を過ごして欲しい。

それが、我々プロの願いです。

そのためには、ある程度以上の専門的な知識は、

知らなくていい。という考え方も大事です。

「皮膚に起きる異常である皮疹には原発疹である斑、丘疹、小結節、結節、腫瘤、膨疹、蕁麻疹、小水疱、水疱、膿疱、囊腫があり、続発疹である鱗屑、痂皮、びらん、潰瘍、表皮剥離、亀裂、瘢痕、萎縮、色素沈着などがある。」

こんなことを知る必要はないんです。

「皮膚に異常があったら、動物病院へ連れていきましょう。」

これでいいんです。

私がお話したいことは、そういうことです。

まぁ、まだまだお時間も文字数もありますので、

ゆっくりと理解していただけるように、

頑張って書いていきます。

これからもよろしくおねがいしますね。

 

ではまた!