やはり、いつかはこの話をしなければいけない。
ブログを書いたり文章で情報発信をしていて、
ずっと思っていたこと。
ペットの死についてです。
最初に言ってしまえば、
正解なんてものはありません。
それぞれ個人の考え方です。
このブログで書かせて頂く内容も、
私がそう思う。
というだけのものなので、
参考にするもしないも、
自分自身だと思います。
様々な考え方があり、
あくまで一人の人間の考え方です。
それは間違っている!
と、私の考え方を変えようとしても無益なので、
ほーーーん、そう考えるのね。
と思っていただけると幸いです。
まず、私は基本的に現実主義者です。
ペットの生命についても、
命あるもの、必ず終りが来る。
そう考えています。
必ず終わる人生だからこそ、今この瞬間を楽しく生きることが最高の方法。
そう思ってます。
もちろん人間の人生は、良いことばかりじゃないですし、
むしろ苦難の時間が多いですが、
まぁ、そんな苦難も幸福を彩るスパイスだと思って・・・
そう、思ってでもいないとやってられませんから・・・
話は戻してペットの死生観についてです。
ペットは人間に比べると、
寿命が短いです。
長くて20年。
真ん中は14歳位となっています。
我々の人生で10年を超える時間一緒に過ごすペットの最後は、
想像するだけで涙が出ます。
私も猫を飼っており、
すでに寿命の折返しを過ぎています。
この仕事をしていると、
普通の方に比べると、
多くの別れと遭遇するので、
どうしても先のことを想像してしまいます。
終わり方の想像も、
普通の方よりも多彩で具体的に想像してしまいます。
できる限りその時まで幸せに生きて欲しい。
そう願ってやみません。
そういうところは飼い主様たちと同じだと思います。
少し違うのは、
死というものを比較的具体的に考えながら生きているということです。
私は、死は慣れないものだと思っています。
ただ、想像し、事前に受け止めているから、
耐えられる。
そう思っています。
普通に飼育されている飼い主様に、
「毎日この子の死ぬときを想像しなさい」
なんてとんでもないことは言いません。
でも、ライフステージの変化があった時に、
ああ、少しづつその時は近づいているかもなぁ・・・
と、思うことは、心を守る手助けになるかもしれません。
心の準備ができていれば、
受け入れて、そのための行動が取れます。
一緒にいる時間を増やしてみる。
一緒にちょっと遠出をしてみる。
美味しいものを食べさせてあげる。
写真や動画をいっぱい撮る。
一番つらいのは、そういった準備が出来ない、
突然訪れる別れ・・・
想像もしていなかったような大病に襲われる。
事故や災害。
大切な存在との突然の別れは、
心を傷つけます。
そして、その傷は自分自身でしか認識ができません。
場合によっては、自分自身でさえ、心の傷を測りかねることもあります。
変わらず流れる日常の中で、
そういった心の傷への対応をしっかりしないと、
傷は正しい治癒を行えず、ずっと残ったり、悪化したりします。
私はいつも思っています。
ペットを愛し大切に思うなら、
ぜひ自分自身も大切にして愛して欲しい。
そして、ペットとの別れを迎えた時に、
お互い、幸せだったね。
そう言える毎日を過ごして欲しい。
本気でそう思っています。
自らの感情に押しつぶされないように、
俯瞰して自分を見ているもうひとりの自分を作って、
自分自身を見つめてあげましょう。
そうすることで、
自分自身の傷、負担を発見し、
対処する方法を考えることが出来ます。
心の傷も、肉体の傷と同じように、
適切な処置を行って、
栄養を与えて、
ゆっくり休む必要があります。
心にとっての栄養は、
心を動かすことです。
時間はかかるかもしれませんが、
自分と向き合って、
自分を大切にしてあげてください。
ペットとの素晴らしい時間を大切にしてあげてください。
貴方が幸せになることを、ペットは心から望んでいます。
獣医師らしい話を付け足しておくと、
なにか深刻な病気にかかった時に、
どういった治療を行うのか、
手術するのか?
入院するのか?
通院するのか?
投薬するのか?
たくさんの方法があって、
どれが正しいかは存在しません。
治療方法によって、確かに成績に差があることもありますが、
最高の治療が、最良の治療ではないというのが獣医療だと思っています。
動物の状態、飼育環境、ご家族の思い、様々な事が絡み合って、
最良の治療方法を一緒に考えていけるように、
たくさんの選択肢を提示できるようにしていきたいと思っています。
飼い主様の選択に、(限度はありますが)間違いは無いと思っています。
そこに愛があると感じられれば・・・
出来ないこと、不可能なことをやろうとすると辛くなりますからね・・・
どうか、しっかりと獣医師と話して、
自分自身で納得の行く治療を行ってください。
ただ、獣医師としては、できる限り動物にとって治療効果が高い方法を勧めます。
できれば、それに沿った治療が行えるように、
日々の準備をしておいていただけることをお願いしたいです。
そういった状況で、いろんなことを話せるように、
日常から獣医師と意思疎通を取るようにして、
しっかりとしたかかりつけを作っておくことを強くおすすめします。
我々獣医師や看護師、動物医療に携わる多くの人間が、
飼い主様とペットの大切な時間を支える手助けをしたいと思って仕事をしています。
一人の人間として、動物の死と向き合い、
飼い主様の気持ちと向き合えるように、
これからも頑張っていきたい。
そう思っています。
ではまた!