未だ人間に心を許さず、
飼い主様でも触ることが出来ない、
そういう動物も体調を崩して病院に来たりします。
触ろうとすると強く威嚇し、
全力をかけて爪や歯を利用して攻撃、逃走しようとする。
こういう動物はどうやって診療をするのか?
というお話をします。
結論から言えば、
鎮静をかけます。
これは当院の場合です。
化学的不動化をすることによって、
動物は意識を失い恐怖から開放され、
スタッフは怪我や逃走から守られます。
嫌がる動物を技とパワーを駆使して抑え込んで処置を行うことも、出来ないことはないです。
ただ、事故率は高いでしょうね。
暴れることで強烈なストレスを与えてしまったり、
病気の種類によっては押さえつけることで死んでしまうことまであります。
鎮静もノーリスクでは有りませんが、
動物に恐怖を与えて、スタッフが怪我をして、最悪逃走なんてされてしまったら元も子もないので、
その辺のリスクをきちっとお話して鎮静をかけるようにしています。
動物も怖いし、スタッフが怪我すると胃に穴が空きそうになるので・・・
でも、そういう動物さんも減ったなぁって明確に感じます。
15年位前とはガラッと変わっている気がします。
動物病院へ通うことが珍しいこと、特殊なことではなくなってきているからですかね。
ワンちゃんも嬉しそうに病院へ来てくれる子も多いですし、
猫さんも診察台の上でリラックスして甘えてくれてはぁはぁ出来る子も多い気がします。
もちろんちょっと怒っちゃう子もいますが、
私の記憶の中の本当にすごくて分厚い革手袋を使って、飼い主様も触れなくて、これ継続治療出来ないんじゃ???とか思いながら診療していた様な例は、
今は無いですね・・・
子犬や子猫のときから病院へ来ていたり、
室内飼育時間が長くなって人間と触れ合ってる時間が長いからとか、
いろいろな要因があるんでしょうが、
獣医師としては嬉しいですよね。
もちろん、
地域性が強いと思うので、
そんなことねーよ、未だに毎日革手袋に穴開けて傷だらけで診療してるよ!
ってとこもあるかもしれません。
動物に腕とか手に傷をつけられるのは、
プロとして恥だ。
と私は師匠から言われていたので、
出来る限り怪我をしないように最大限の道具や工夫をする、
鎮静も積極的に使うという考え方でやっています。
外に出る猫に噛まれたら死ぬ病気にかかる時代ですから・・・
何度か出ているマダニから媒介する
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
私とスタッフの命を守らなければいけませんからね。
病気って、一発の治療でキュピーン! って治らないことがほとんどなので、
出来る限り動物とのスキンシップは取れるようにして、
この子が病気になったら、ちゃんと治療できるんだろうか・・・って
心配にならないような信頼関係を作れていければいいんですけど・・・
動物からしたら、何をされているかわからないし、怖いですよねー・・・
うーん、難しい!
動物病院が恐怖の対象とならないように、
かるーい健康の相談とかでも病院の空気にならせたり、
知らない人でも人間は安全なんだよーって覚えてもらったりして、
良い関係性を築いていきたいですね。
ではまた!!