動物の医療は本当に複雑です。

動物動物ごとの個体差も非常に大きく、

動物種、品種、年齢、性別、体格、性格、飼育環境、食事、習慣.etc.

様々なことを考慮して物事を判断しなければいけません。

そして、

最も診療を複雑化させる要因は、

本人の口から症状の説明を受けられないことです。

もちろん、こちらがしたアクションに対してのリアクション、反応から、

状況を推測することは出来ますが、

例えば腕を触って嫌がって手を引いた時に、

痛みによってそういう行動をとっているのか、

しびれによってそういう行動をとっているのか、

手を触れることが嫌いだからそういう行動をとっているのか、

これを正確に判断することは、目の前に居ても難しいもんなんです。

本人から説明を受けられない以上、

大事な情報源は飼い主様のお話になります。

我々も千里眼はありませんから、

見ていないご家庭での様子を知ることは出来ません。

被毛の管理や各爪・耳・肛門周囲・足回りなどを見れば、

管理のレベルを、想像、することは出来ますが、

あくまでも想像です。

実際と異なる可能性は大きくあります。

飼い主様としても、何が重要で何が重要でないかの判断は難しいですし、

日頃からいつも一緒に居て、

全てを事細かに把握するのは、

かなり大変だと思います。

なんとなく、なお話なってしまうことは仕方がないと思いますし、

そういうものだと思います。

そういった情報を統合して、

病気を予想して、

必要な検査を考えて、

それらの検査結果を踏まえて

診断に至る。

それからその子に合わせた治療を考えて、

いくつかの選択肢の中から、

飼い主様と動物が受け入れることが可能な治療方法を探っていく。

我々臨床獣医師の仕事は、

こういったことの積み重ねになります。

だからこそ、

安易に症例に関することや、

治療に関することに、

助言をすることは、

非常に難しいし、

それは、

無責任な行為なんです。

 

インターネット上で、不安から病気の相談をされるお気持ちは、大変理解できます。

しかし、

そういったことに、

しっかりと御返事ができないことは、

ケチなわけでも人でなしなわけでも、獣医師のくせに優しさがないわけでもないんです。

責任感があって、動物のことが心配で、飼い主様のためにと思っているからこそ、

そういったことに安易に返答しないんです。

それは、

動物を危険に晒す可能性があり、

飼い主を不幸にする可能性があり、

非常に無責任な行為だからです。

経験則をお話なる方もいらっしゃいますが、

それはあくまでも、その方の動物のその状況の時にそうだっただけであり、

よく似たように感じられるお話でも、

中身は全く異なる可能性だってあるわけです。

全くの見当違いな事を言って、

本当に運が悪ければ、

助けられたかもしれない子を、

殺してしまう。可能性だってあるんです。

かかりつけの診ている獣医師が、

正しいことをしていて、

いい方向に向かっていたはずなのに、

全くの誤解から、関係性を破壊して、

飼い主と獣医師が争うような状況を作ってしまう可能性だってあります。

実際に診ていない症例への安易なアドバイスは、

そういった危険性があるんだってことを、

臨床獣医師は身にしみているので、

そういうことをやらないんです。

そして、そういった行為をする人間は、

なにか問題が起きた時に、

何も責任を取りません

 

もちろん、

情報を知ることによって、

別の可能性に気がつけて、

動物が救われるケースも存在します。

それも十分にわかっています。

だからこそ、我々は実際に診療をしている人間に、

なんでも相談して、

そこで対応してもらえないのなら、

きちんとプロである獣医師にセカンドオピニオンなどを勧めているのです。

病院の規模、設備、得意分野色々あります。

適切な場所でなければわからないこともあります。

時に飼い主様に苦労をしていただくことにもなります。

それでも、我々は責任のある獣医医療を提供するために、

診ても居ない動物に対する診断や医療に関する助言は、

大変慎重になります。

責任感が有るからです。

 

どうか、かかりつけの動物病院ともっと話し合ってみてください。

そういった相談に乗ってくれない病院なら、

変えたほうがいいかもしれませんが、

実際に診療していないインターネットのどこの誰かわからない人間の、

無責任な判断を盲信しないでください。

ぜひ、面と向かってきちんと動物を診ているかかりつけの獣医師を信用してみてください。

相談するにしても、

きちんと動物を診ているセカンドオピニオンの方の話を聞いてください。

 

世の中、人お医者さんでも酷い医者はいるみたいです。

 

こんなことをしている医者がいるように、

ごく少数だと思いますが、

とんでもない詐欺みたいな治療をしている獣医師がいないわけではないと思います。

それでも、

大多数、ほとんどの獣医師は、

毎日動物を巣食うために一生懸命頑張っています。

おかしいなと思ったら、

動物病院を変えることは、悪いことではありません。

でも、

もっと向き合ってみましょう。

きちんと話してみたら、

ちゃんとわかり合えると思います。

ネットの無責任な優しさに流されないでください。

貴方の動物に責任を追っているのは、

実際に診ている獣医師です。

かかりつけの獣医師ともっと話し合ってみましょう。

向き合ってくれないなら、別の病院という選択肢を持ちましょう。

 

動物の幸せのためにも、

飼い主様の幸せのためにも、

良い獣医師と出会えることを心から祈っております!

 

ではまた!!