ペットが健康的に、幸せに暮らしてほしい。
動物医療に携わる人間、
そして、一飼い主としてそう思わない日はありません。
できる限り早く動物の変化に気がついて、
できる限り早く元気になってほしい、
もしくは病気にならないでほしい。
皆が思うことだと思います。
動物の変化に気がつくのはけっこう難しいのです。
本来自然で生きているときは、
自分の体調変化を外に発信してしまえば、
場合によっては獲物になってしまうかもしれない。
そういう環境で生きていた生物は、
本能的に自らの体調変化を外部に漏らさないようにします。
人間との生活が長くなり、
ちょっとした体調変化を飼い主様に訴えることもありますが、
我慢強い子もいます。
そういった子の変化を知るためには、
日々のふれあいの中で気がつくと良いと思います。
特に、健康上にプラスになるケアを生活に組み入れて、
そのふれあいの中で日々の健康状態を知るということをおすすめします。
私が、ペットの健康管理で最もオススメなケアは・・・
歯磨きです。
歯のケア、歯垢・歯石のケア、歯肉のケア、口腔内環境のケア。
言葉は違えどようは口のケアです。
ワンちゃんも猫ちゃんも、口の中の環境の悪化は直接的に全身の健康につながることがわかっています。
歯垢や歯石がついてしまって、
口の中の環境が悪化することで、
肝臓病・心臓病などのリスクも上がります。
逆に言えば、
口の中をちゃんとケアすることで、
そういった病気のリスクを下げることが出来ます。
口のケアは、とにかく無理をしないで、
でも、毎日きちんとやることが大事です。
無理をして嫌がらせてしまえば、
毎日苦痛を与えることになってしまいます。
若い頃から導入できることが理想的ですが、
すでに大きくなってしまった子、
口のケアを絶対にやらせてくれない子は、
ちょっと苦労します。
本当に難しい子もいます。
世の中には様々な口腔内環境を整えるグッズが存在します。
玉石混交ではありますが、
色々と試してみて、
受け入れてくれるものを見つけていきましょう。
スタンダードなやり方としては、
まずは顔周りに触れられることから受け入れてもらいましょう。
いきなり歯に行かずに、
撫でる延長で口周りに触れられることに慣らしていきます。
うまく触らせてくれたら、その都度思いっきり褒めてあげましょう。
外から動物の歯を軽く感じるように触れることに慣れていきましょう。
嫌がらずに触らせてくれたら、
少しだけ前進しましょう。
口周りを触れている時に、
さり気なく口の中に指を滑り込ませて、
歯に触れてみましょう。
無理は禁物、嫌がるならまたゆっくりと顔を触る訓練からです。
軽く歯を触れても嫌がらなくなったら、
唇をちょっとめくったりしてみましょう。
歯の状態を見るのに役に立ちますし、
歯磨きをするのにも大事です。
口の中に指を入れても嫌がらなくなってくれたら、
布でもタオルでも指に巻いたもので、
濡らした上で歯に触れていきましょう。
くれぐれも無理はしないでくださいね。
それと、タオルを奪われて食べられないようにするのも気をつけてください。
もし受け入れてくれるなら、
一日の食事を終えたあとに、
口のケアを習慣づけていきましょう。
歯磨き粉のようなものや、ジェルなどを使って布で歯を磨けたら、
次は歯ブラシや、指にはめる歯磨き道具などに行きましょう。
安心して口の中を触らせてくれるようになれば、
歯の内側もケアできるようになります。
そこまで行ければ、
口腔内の疾患に非常に高い予防効果を得ることが出来ます。
しつこいですが、
無理はしないでくださいね。
やはり、できる子、できない子はいると思います。
動物の歯垢歯石は人間よりも早く歯に定着してしまいます。
毎日の習慣化が非常に大事なので、
嫌がられてしまうとまず続けられません。
出来ないことを無理にしようとするんじゃなく、
できることの中で選んでいきましょう。
そして、少しづつ無理せず練習して、
理想の口のケアに近づけていくように、
焦らずペットさんと向き合っていきましょう!
正直、個体個体でやり方も変わってくると思います、
基本的には書いたような流れで進められればいいですが、
なにか困ったり、疑問に思ったら、
かかりつけの動物病院で相談してください。
ネットでいろんな、本当にいろんなものが売られています。
眉唾なものから、うまく利用すれば有益なものまでたくさんあります。
我々獣医師も、その中から良いものを選ぶのは難しいです。はっきり言って。
ただ、
そんなに簡単に歯石はポロッとは取れませんし、
なにか一つで楽ちん口腔内管理は、無理ですね、残念ながら。
こういったことは日々の努力の積み重ねです。
もちろん、
何もしないよりはいい場合もありますが、
効果のないものに、大金をつぎ込むようなことにならないように、
冷静に情報を集めていきましょう!
ケアシリーズ第一弾は、口のケアのススメでした。
ではまた!!