私が情報発信をしているそもそもの理由があります。

それは、

獣医師と飼い主様が、

知識の差や、時間的な制約、ちょっとした行違いによって、

必要のない対立が生まれて、

不幸な争いが起こることを減らしたいという想いからです。

獣医師ははっきり言って、忙しすぎます。

多くの外来を診察し、

病気の診断をつけ、

診断をつけるために必要な検査を考察し、指示し、実行し、

院内の処置の全てを指示し、実行し、

日々変わる症状を判断して、今後の戦略を練って、

治療や投薬の指示、場合によっては製薬からお会計、

さらには経営者としての顔も持たなければいけません。

忙しくなれば、当然一つの症例にかけられる時間は減ります。

飼い主様への説明に十分な時間をかけられない場合もあるでしょう。

今緊迫した状態で、きちんとした事前の理解を待つ時間もなく検査や処置をしなければいけないこともあるでしょう。

医療という専門性の高い物事を、

飼い主様という、素人にわかりやすく説明することは、本当に難しいです。

医療の基礎となる知識、各飼い主様ごとにどのくらいの知識を持っているのかを考慮する暇も方法もありません。

ものすごく噛み砕きすぎれば、説明不足だと言われ、

詳しく説明すれば、何を言っているのかわからないと言われ、

一生懸命に説明しても、よくわからないから任せる。と言われ、

任せられたから頑張ると、高い、聞いてないと攻撃をうけることだってあります。

完全な理解を求めて、質問を繰り返す方もいます。

どんなに何度も説明しても、毎回同じ質問をされると、

自分の仕事の意味を考えてしまう日もあります。

普段は全く関わってこなかった第三者が、

お互いの今までの積み重ねも無視して、筋違いなことを言って、

簡単に信頼関係が壊れて不当に責められて傷ついた経験は、

長く獣医師をしていれば少なくありません。

紙に書こうが、動画を見せようが、何をしても、

そういったすれ違いは、どうしても起きてしまう。

だからといって、

ながーーーーい時間をかけてその溝をきっちりと埋められるほど、

獣医師は暇じゃないのが現実です。

世の中には優秀な先生が、

病気をしっかりと教科書のようなレベルで説明してくださっている人はたくさんいます。

でも、

それでは、

伝わらない人もいるんです。

だから私は、

できる限りわかり易い言葉で、

そしてなにより、

きちんとかかりつけの動物病院で動物をしっかりと診てもらうこと、

そして、獣医師が敵ではなく味方なんだということを

もう一度皆様に取り戻してほしいと思って、

情報発信をしています。

最近、ちょっと小難しい話が多くなってしまっているなと、

自分のスタート地点を改めて見つめ直して、

飼い主様がわかりやすい言葉で、

獣医師の知識や想いを伝えていけるように頑張りたいと想います。

動画コンテンツとしてのYoutubeもがんばります。

知識があることと、知識を使えることには、

とんでもない差があります。

飼い主は専門家になる必要はありません。

専門家をうまく利用して、

素敵なペットライフを過ごしてください。

 

ではまた!!