我々人間も、

寒くなり乾燥してきて、

朝目が覚めると喉がカラカラでいがらっぽく、

そこから喉風邪を引いてしまったりしないかと

不安になる時期がやってきました。

 

動物の場合、

かなり厳格に鼻呼吸をする生き物なので

あまり喉の乾燥などは起きにくいと考えられています。

だからといって喉風邪のような喉の炎症はおきます。

気管の構造が生まれつき弱い子もたまに居て、

呼吸音がガーガーと言ったり

咳をしやすい子も存在します。

チワワさんやパグ、フレンチブルドックなど、

短頭種と呼ばれる犬種も口から喉にかけての構造が

ぎゅっと詰まっているせいでトラブルが多いと考えられています。

呼吸の仕方がおかしい、咳をしていると言っても、

その理由は様々なので、

基本的にはおかしいなと思ったら

できる限り早くにかかりつけの動物病院で見てもらうことをおすすめします。

 

今回は

冬場に呼吸変化を起こす問題の中で、

心臓が関連する場合のお話をします。

寒くなると心臓に負担がかかるとよく聞きますが、

なぜそういう事が起きるのかを説明します。

気温が低下すると動物はそれに対抗するために

体表の血管を細くします。

体表の寒い部分を流れる血液量を少なくさせて、

体の内側の体温を維持して、体温低下を防ぐためです。

体表の血管が細くなると、そこを血液が通るのが大変になります。

さらに中枢、身体の中心部分に血液の流れる量が多くなり、

結果として心臓は抵抗のある場所へ血液を届けるために、

容量の増加した血液を一生懸命にポンプとしての働きをしようとします。

これが、寒い時に心臓に負担がかかる理由です。

しばらく寒い環境にあると、心臓もだんだんと馴れてきます。

しかし、そこで問題なことが、

室内と外の寒暖差です。

もっとも心臓に負担がかかるのが、

この寒暖差に晒されたときと考えられています。

一生懸命寒い環境に合わせて調整をしたのに、

温かい室内に戻って、また環境を調整しなければいけない、

温かいところから寒いところへ出たときだけでなく、

寒いところから温かいところへ入ったときにも、

変化をさせるというストレスがかかってしまいます。

健康で若い子ならばそこまで気にしなくてもいいですが、

持病として心臓病を持っていたり、

高齢であったりすると、

その繰り返しによって心臓は負担を感じてきていしまいます。

そして、その負担があるところを超えてくると、

症状として表に出てきます。

元気がない、食欲が落ちる、運動後にぐったりしてしまう、呼吸が細かい、お腹を使って呼吸をする、呼吸音がおかしい、咳をしている、体重が落ちてくる。

どんな形で症状が出るのかが一様ではないので、

なにかおかしいなと思ったらできる限り早くかかりつけの動物病院に相談しましょう。

心臓は生きていれば常に動き続けている臓器です。

全身に血液を送るポンプである心臓は、

ただしい流れを作るための弁機構を持っています。

逆流を防ぐ弁です。

ずーっと動き続けている弁は、

年齢とともに弁自体が変形してしまったり、

弁を支える糸が緩んでしまったりして、

正しく働かなくなることがあります。

弁膜症と呼ばれます。

高齢の動物で最も多い心臓病疾患はこの弁膜症と言われています。

心臓自体の筋肉が異常を起こす心筋症、

筋肉の動きを司る神経に異常が起きる不整脈などが、

代表的な心臓病と言っていいと思います。

これらの問題の原因は一つではなく、

様々な原因が絡み合って引き起こると考えられていますので、

対応はその子その子によって変化します。

心臓病の難しいところは、

心臓をさくっと良くする治療ができないことが多いことが上げられます。

人間では弁膜症の場合、

弁置換術という、

外科手術で問題のある弁構造を交換して、

『治す』治療が行われます。

動物でも根治的な治療である弁置換術や弁形成術は存在しますが、

心臓の専門医で体外循環、心臓外科を行える病院は限られています。

誰しもが受けられる治療では残念なんがらないので、

一般的には、

現状の心臓が、

楽に活動できるように

環境を整えてあげるお手伝いをする内科治療で

治療することが多いです。

飲み薬による治療ですね。

簡単にお話すれば、

末梢の血管を開いて、

全身的な血液の圧を下げてあげる降圧治療をして、

心臓が頑張らなくても全身に血液を送りやすい環境にしてあげたり、

心臓自身へと栄養を運ぶ血管を開いて心臓を元気にしてあげたり、

体内の水分量を抑えることで、血液全体の量を過剰に多くしないようにして

心臓の負担を抑えてあげたり、

心臓の筋肉の働きを強めてあげたり、

実際にはたくさんの薬を組み合わせて治療をしていきます。

症例ごとにやるべきことは変わります。

獣医師とよく話し合って決めていきましょう。

冬に出る呼吸が変、咳をするなどの症状は、

放置していると取り返しの付かないことになることも少なくありません。

おかしいなと感じたら一度動物病院で見てもらってください。

早期発見早期治療で、

できる限りいい状態の心臓を長い期間維持することを心がけてくださいね。

 

ではまた!!