当ブログでは何度か触れさせていただいていている

無麻酔歯石除去

私は日本小動物歯科研究会や全米獣医師歯科学会の提言に合わせて

獣医師や動物看護師ではないものが無麻酔歯石除去をすることに

反対の立場を取らせていただきました。

もっと言えば、獣医師でも反対です。

そして、

日本では愛玩動物看護師という国家資格が生まれたことに合わせて、

獣医師や愛玩動物看護師の資格を持たないものによる

無麻酔歯石除去は法律違反になるから、

なんの意味もない民間資格で無麻酔歯石除去をやっている

施術者が犯罪者になってしまうから止めたほうが良いですよと

言い続けてきました。

そして、

もう、すでに、現在、獣医師や愛玩動物看護師の国家資格を持たない人間による

無麻酔歯石除去行為は違法行為となっています。

もし、

貴方が施術者として行っているなら、

すぐに辞めましょう。

犯罪です。

最悪逮捕されます。

もし、貴方が、無麻酔歯石除去を依頼しているなら、

同じく止めましょう。

では、なぜ無麻酔歯石除去を勧めないのかをお話します。

 

無麻酔歯石除去の問題点

 

１．医療的な意味がない

歯石除去、口腔内管理を行って求めることは、

歯周病の治療や改善を求めています。

しかし、無麻酔歯石除去によってできることでは、

歯周病の原因である歯と歯肉の隙間に存在するプラークなどに

アプローチは出来ません。

さらに、表面の研磨ができないために、

歯石を外してガタガタの歯は以前よりも歯石がつきやすくなり

あっという間に元に戻ってしまいます。

無麻酔歯石除去は、あくまで見た目が綺麗になる美容行為です。

 

２．動物が危険

無麻酔歯石除去に用いるハンドスケーラーは、

刃物です。

歯肉を傷つける可能性があります。

そして、表面からはわからない歯根部分がすでにダメージを受けている歯を

いたずらに触れると、

最悪顎の骨が折れてしまいます。

そして、動物が恐怖やストレスによって、

循環器疾患、呼吸器疾患等によって体調が悪化してしまう可能性もあります。

 

３．問題が起きた場合に対応できない

無資格者による無麻酔歯石除去は、

なにか問題点が起きた場合に、

対応ができません。

もし、すぐにでも命に関わる問題が起きた場合は、

そのまま命を落とす可能性もあります。

もし、施術者として、問題なんて起きないと考えているのなら、

医療行為に触れるのは止めなさい。

危険性の可能性を想定しない人間による医療行為なんて

害悪以外の何物でもありません。

どんな行為でも、場合によっては危険性をはらんでいます。

そういったことを想定して、問題が起きたら適切に対応できる準備をしているからこそ

医療行為を行えるのです。

 

４．医療行為ではない、予防でもなんでもない美容行為をきちんと説明していない

個人的にはこれが一番卑怯だなって思っています。

無麻酔歯石除去をやっている人は、こう言います。

「医療行為ではない」「問題が有る歯は処置しない」「日々のケアの一環である」

医療行為を獣医師以外の人間が行って費用をもらうことは、獣医師法違反であるために、

美容行為だと謳って行いますが、

実際にはまるで歯の健康にとって良いことをやっているように宣伝しています。

これは、卑怯です。

次に、問題があったら処置しないというのは、

問題が有るかどうかを診断しないと判断できません。

しかし、歯科の問題点は必ずしも外観では判断できません。

事前にレントゲンなどで確認したり、

実際に歯石を取ってみて初めて分かることもあります。

そういった問題に対応できるから、獣医師は歯石除去を行うのです。

それが出来ない人間が、歯石除去を行うことは、無責任です。

最後、日々のケアの一環である。

これ、逆です。

無麻酔歯石除去は動物に恐怖と痛みを与えて、

日常の歯科ケア、口腔内ケアに対する恐怖心を植え付けて、

今後のケアを難しくさせる可能性があります。

皆さん、ご自身で歯石除去されますか？

歯医者さんで、一度ぜひ受けてみてください。

歯の健康が大事なのは人間も同じなので、歯医者さんでやってもらってください。

自分で受けてみると、

その怖さと痛み、理解できるとお思います。

私は部分麻酔してもらってます。

何をされているか理解しているので怖さも我慢できますが、

それを知らなかったらどうでしょう？

想像できますよね。

 

まだまだ言いたいことはいっぱいあります。

麻酔のことを危ない危ない言うくせに、

麻酔の危険性や方法は知りません。

感情論でなんとなく言ってるだけです。

もちろん、一切の危険性もなく、動物に一切恐怖も痛みも与えず、

肉眼で外から見るだけで、歯の根元の状態を判断することが出来て。

歯肉と歯の隙間の歯周病の原因となる部分を綺麗にして、

歯の表面をきちんと研磨できるという技術をお持ちだったら、

ぜひ獣医師免許を取得して無麻酔歯石除去を行ってください。

 

これ、書いてると終わらないので、今日は一旦ここまでにします。

皆様、法律が変わって明確に違法行為になった

無麻酔歯石除去。

もう、止めましょうよ。

歯のケアは動物の一生に非常に大事なので、

みんなで歯科ケア、口腔内管理を勧めていくことは

めっちゃ賛成なので、

子供の頃からの歯磨きの習慣化とか、

法律に触れない管理を飼い主様と一緒に頑張っていったり、

啓蒙して行きましょう！

自分自身がそんな違法行為しなくて済むよう

動物が不幸な目に合わないように、

飼い主様を不幸にしないためにも、

無麻酔歯石除去、辞めましょう。

 

ではまた！！